葬儀の準備でやること・必要なもの|危篤から葬儀後まで時期別に

葬儀 準備 する もの

親が危篤で、数日のうちに亡くなるかもしれないと言われたら、何を準備すればいいのか。知恵袋にも、喪主をすることになりそうだが一番大事な準備は何か、飛行機の距離から駆けつけることになりそうだ、という相談が並んでいます。自分は喪主の経験がないので、自治体や国の案内と調査データから、準備するものを時期ごとに整理しました。先にお伝えすると、亡くなる前にできるのは、葬儀社の候補と見積もり・形式と知らせる範囲・遺影の写真・喪服のサイズ確認の4つくらいで、書類の多くは亡くなってから病院や役所で受け取るものです。

時期別に準備するものの一覧

時期 準備すること・もの 期限・メモ
危篤〜亡くなる前 葬儀社の候補と見積もり/形式と知らせる範囲/遺影の写真/喪服のサイズ確認 決めるのは候補まででよい。家族と共有しておく
亡くなった当日 死亡診断書(死亡届と一体の用紙。病院が発行)/そのコピー/記入用の黒インクのペンかボールペン(鉛筆・消せるボールペンは不可。中央区の案内) 死亡届は死亡を知った日から7日以内(国外は3か月以内)。押印は任意(中央区の案内)
通夜・葬儀 喪服と小物(靴・バッグ・数珠など)/火葬許可証(死亡届を出すと交付される) 火葬は死亡後24時間を過ぎてから
葬儀後の手続き 火葬証明が書かれた火葬許可証(納骨で使う)/葬祭費の申請用に、喪主の氏名が分かる葬儀の領収書または会葬礼状・喪主名義の口座・本人確認書類(練馬区の例) 葬祭費の申請期限は2年(大阪市・練馬区など)。世帯主変更は14日以内(世帯に2人以上残る場合)

出典:戸籍法・墓地、埋葬等に関する法律・東京都中央区 死亡届・練馬区 葬祭費・大阪市 葬祭費・相模原市 死亡に関する手続き(2026年9月時点)

亡くなる前に手を付けられるのは一段目だけです。二段目以降の書類は、亡くなってから受け取るものです。

亡くなる前に決めておけること

葬儀社は候補を1社決めて見積もりを見る

いちばん効くのは、葬儀社の候補を先に1社決めておくことです。喪主経験者2,000人を対象にした鎌倉新書の2026年の調査結果(PR TIMES)によると、「葬儀の事前準備をいつ頃から始めたかという質問に対し、最も多かったのは『準備していなかった』で63.8%(1,276人)に上りました。」とあります。同じ調査では、自分で業者を決めた人の87.1%が他社と比べずに1社で決めていました。

亡くなってから探すと比べる時間がほぼ取れないので、候補と見積もりだけは危篤の段階で手元に置いておくのが現実的です。見積もりの見方については、国民生活センターの注意喚起が具体的です。国民生活センターによると、「葬儀社との打ち合わせは親族や第三者など複数で行いましょう。」「見積書は必ず受領し、内容(明細)をよく確認しましょう。」とあります。

調べるまで、葬儀社は亡くなってから探すものだと思っていました。候補を1社決めておくだけで、当日に比べる手間がひとつ減ります

生前に葬儀の話をするのは気が引ける人もいると思います。ただ、ここで決めるのは契約ではなく候補です。家族の誰が葬儀社とやり取りするかを決めておくだけでも、当日の動きは変わります。

形式によって費用は数十万円変わる

次に決めておきたいのが、葬儀の形式と、誰に知らせるかの範囲です。形式によって総額は数十万円単位で変わるので、家族葬にするのか一般葬にするのかは、見積もりを取る前に家族で方向を合わせておくと話が早くなります。先ほどの鎌倉新書の調査(2026年・中央値)では、総額は一般葬122.01万円・家族葬96.39万円・一日葬74.43万円・直葬/火葬式49.56万円でした。中央値なので、半数の人はこの金額以下だったという意味です。実際に行った形式は家族葬が47.0%で最も多くなっています。

出典:鎌倉新書 第7回お葬式に関する全国調査(2026年9月時点)

呼ぶ範囲も、実際に喪主が困った点として上位に挙がっています。形式ごとの費用の内訳や、広告の金額と総額がずれやすい点は別の記事で整理しました。

遺影の写真は今のうちに探せる

意外と見落としやすいのが遺影です。同じ調査で困ったことを聞いた項目では、鎌倉新書の調査結果(PR TIMES)によると、「次いで『葬儀の知識やマナーがわからない(259件)』『遺影にふさわしい写真がない(227件)』『訃報連絡をする相手・範囲がわからない(219件)』と続いています。」とあります。写真と連絡先は亡くなる前でも落ち着いて探せるので、今のうちに手を付けておける準備です。スマホの写真や年賀状の住所録が手がかりになります。

亡くなる前にできる4つの準備
・葬儀社の候補を1社決めて、見積もりをもらっておく
・形式(家族葬か一般葬かなど)と知らせる範囲を家族で合わせる
・遺影に使えそうな写真を探しておく
・手持ちの喪服を一度着て、サイズを確認する
書類はこの段階では要りません。亡くなってから病院と役所で受け取ります。

亡くなった当日から使う書類

死亡診断書は出す前にコピーを取る

亡くなると、病院から死亡診断書を受け取ります。東京都中央区の案内によると、「通常、死亡診断書(死体検案書)は死亡届と一体となって印刷されており、医師等が記載し、病院等から発行されます。」とあります。

ここで大事なのが、出す前のコピーです。同じ中央区の案内には、「死亡診断書(死体検案書)をご提出いただいた後は返却することができません。写しなどが必要な場合は事前にコピーを済ませておいてください。」とあります。静岡市も同じ趣旨を案内しています。役所に出すと原本は戻らないので、提出する前に必ずコピーを取っておきます。

コピーを取り忘れやすい場面
葬儀社に死亡届の提出を頼むと、書類が手元を離れるのは一瞬です。記入を終えて葬儀社に渡す前に、コピーを取ったかを確認してください。何枚必要かは手続き先ごとに違い、調べた自治体の案内には枚数の記載がありません。

死亡届は7日以内、署名は届出人本人

死亡届の期限は、戸籍法で死亡の事実を知った日から7日以内(国外で亡くなったときは3か月以内)と決まっています。届け出る先は、亡くなった人の本籍地・亡くなった場所・届出人の住所地のいずれかの役所です。

提出の手続きは、静岡市の案内によると、「葬祭業者等に葬儀をお願いしている場合には、葬祭業者が届書提出の代行をしますので、届書の記入が完了しましたら、葬祭業者へお渡しください。」とあります。引き受けるかどうかは、依頼する葬儀社に確認してください。提出を葬儀社に任せる場合でも、届出人の欄に署名するのは親族などの届出人本人です。印鑑を心配する人もいますが、東京都中央区の案内によると、2021年9月から押印は任意になり、「届出人の署名だけでも届出できる取扱いに変更されました。」とあります。記入には黒インクのペンかボールペンを使い、鉛筆や消せるボールペンは使わないよう中央区は案内しています。

火葬許可証は納骨まで手元に残す

死亡届を出すと、火葬に必要な許可証が出ます。福岡市の案内によると、「死亡届が出されると、火葬・埋葬の許可証を交付します。」とあります。火葬そのものは、亡くなってからすぐにはできません。横浜市営斎場の案内によると、「火葬は死亡後24時間以上経過しなければ、行うことができません(墓地、埋葬等に関する法律第3条)。」とあります。

火葬が終わると、許可証は火葬場から戻ってきます。同じ横浜市営斎場の案内には、「なお、火葬許可証については、火葬後、裏面に火葬証明を記載してお返しいたします(収骨終了後、骨壺をお返しする際に一緒にお返しいたします)。」とあります。お墓や納骨堂に納めるときは、この許可証を管理者に渡す決まりです(墓地、埋葬等に関する法律第14条)。火葬許可証は火葬で終わりではなく、納骨の日まで骨壺と一緒に保管しておく書類です。

葬儀後の手続きは役所の窓口で聞ける

葬儀の後は、年金・保険・世帯主変更などの手続きが続きます。自治体によっては、まとめて案内する窓口があります。相模原市の案内によると、「『おくやみ窓口』では、お亡くなりになった方の情報を事前にお伺いして必要な手続きを抽出し、申請書の作成補助や担当窓口のご案内を行います。」とあります。葬儀後の手続きは、住んでいた自治体のおくやみ窓口やハンドブックで一覧をもらうのが早道です。中央区や新潟市も、手続きをまとめた冊子を用意しています。喪主が葬儀の前後にやることは、流れに沿って別の記事にまとめました。

喪服と小物は早めにサイズ確認

手持ちの喪服は前もって一度着てみる

書類と違って、喪服は亡くなる前から確認できます。自分は社会人1年目に買った喪服を持っていますが、32歳になって体型が変わり、いま着られるかは正直なところ自信がありません。喪服を持っている人も、通夜の当日ではなく危篤の段階で一度袖を通しておくのが安全です。合わないと分かっても、数日あれば手が打てます。靴・バッグ・数珠など小物もあわせて出しておきます。

自分の喪服も、しばらくクローゼットから出していません。今週末に一度着てみます

持っていない・遠方からならレンタルも

喪服を持っていない、サイズが合わなかった、飛行機の距離から駆けつけるので荷物を減らしたい。そういう場合は、買う以外に喪服レンタルという選択肢があります。一度きりの着用や遠方からの移動なら、借りて済ませる方法も候補に入れておくと、準備の手間が減ります。手持ちで足りるかの確かめ方から借りるか買うかまでは、こちらにまとめています。

通夜が今日・明日に迫っていて時間がない場合は、即日で受け取れるレンタルの探し方を別にまとめました。

お金の準備で押さえる3点

支払いの時期と方法は見積もりで聞く

葬儀代をいつ、どう払うかは葬儀社ごとに違い、公的な決まりはありません。支払いの期限と方法は、見積もりをもらう段階で葬儀社に直接確認しておきます。費用の目安や、家族葬でも総額が膨らむ理由は、先ほど紹介した費用の記事にまとめています。

故人の預金の払戻しは上限1金融機関150万円

遺産分割の前でも、各相続人が一定額まで単独で払い戻せる制度があります(民法第909条の2)。上限は、口座ごとに相続が始まった時点の残高×3分の1×その相続人の法定相続分です。さらに金融機関ごとの上限もあり、全国銀行協会によると、「また、金融機関ごとに150万円までとされています。」とあります。葬儀代の立て替えがきつい場合は、故人の預金を遺産分割の前に払い戻せる制度(上限は1金融機関150万円で、残高や相続分によってはそれより少ない)があることを覚えておくと安心です。

出典:法務省 預貯金の払戻し制度(2026年9月時点)

払い戻す前に確認したいこと
払い戻した分は、その相続人が遺産の一部を受け取ったものとして扱われます。相続放棄を考えている場合は、払い戻す前に専門家に相談してください。

葬祭費の申請には領収書を残す

亡くなった人が国民健康保険などに入っていた場合、葬儀を行った人に葬祭費が出ます。金額は自治体で違い、大阪市・名古屋市・横浜市などは5万円、東京都の世田谷区・練馬区は7万円です。申請には葬儀の書類が要り、練馬区の案内によると、必要なものとして「喪主の氏名が確認できる葬儀の領収書または会葬礼状」とあります。葬儀代の領収書は喪主の名前で受け取り、葬祭費の申請が終わるまで捨てずに保管しておきます。会社の健康保険(協会けんぽ)の加入者が亡くなった場合は、葬祭費ではなく埋葬料(5万円)などの対象になります。

出典:大阪市・名古屋市・横浜市・世田谷区・協会けんぽ(2026年9月時点)

よくある質問

親が危篤のうちに葬儀社へ相談してもいいですか?

問題ありません。調査では葬儀社を決めた時期は亡くなった後が最も多く、自分で業者を決めた人の約9割が1社だけで決めていました。危篤の段階で見積もりをもらっておけば、内容を落ち着いて確認できます。

死亡診断書のコピーは何枚取ればいいですか?

調べた自治体の案内には枚数の記載がなく、手続き先ごとに必要かどうかが違います。役所に提出すると原本は返ってこないので、提出前に余裕を持った枚数をコピーしておくと安心です。

遠方から駆けつけるとき、喪服はどうすればいいですか?

手持ちの喪服を持って移動するか、喪服レンタルを使う方法があります。サイズに不安があるなら出発前に一度着てみて、合わなければレンタルを検討すると、移動の荷物も減らせます。

まとめ

葬儀の準備は、時期で分けると迷いが減ります。亡くなる前は、葬儀社の候補と見積もり、形式と知らせる範囲、遺影の写真、喪服のサイズ確認の4つです。亡くなった当日は、死亡診断書を提出前にコピーし、死亡届は7日以内に出します。葬儀の後は、火葬許可証を納骨まで、葬儀の領収書を葬祭費の申請まで保管します。

調べてみると、亡くなる前にできることは意外と少なく、その分ひとつずつが効いてきます。まずは葬儀社の候補と、喪服を一度着てみるところからで十分だと思います