産休・育休中のお金はいくら?いつ入る?計算例と空白期間の備え方

産休 育休 お金

産休・育休中は給料が止まるかわりに、会社員なら産休中は健康保険の出産手当金、育休中は雇用保険の育児休業給付金が出ます。どちらも休む前の給料の3分の2程度が出発点です。ただ、どれも休んだあとに申請して受け取る後払いなので、入金までの空白をどう埋めるかが家計の山場になります。まず、いつ・何が・どこから出るのかを表にまとめました。

期間 もらえるお金 どこから 額の出し方
出産のとき 出産育児一時金 健康保険 1児50万円
産休(産前42日〜産後56日) 出産手当金 健康保険 標準報酬月額の12か月平均÷30×2/3×日数
産休・育休の全期間 社会保険料の免除 健康保険・厚生年金 本人負担がゼロ
育休の1〜180日目 育児休業給付金 雇用保険 賃金日額×日数×67%
育休の181日目〜原則1歳 育児休業給付金 雇用保険 賃金日額×日数×50%
両親とも14日以上の育休(最大28日) 出生後休業支援給付金 雇用保険 賃金日額×日数×13%を上乗せ
父親の産後パパ育休(最大28日) 出生時育児休業給付金 雇用保険 賃金日額×日数×67%
復帰後、2歳未満の子の時短勤務 育児時短就業給付金 雇用保険 時短中の賃金×10%

出典:協会けんぽ 出産手当金/厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続/日本年金機構(2026年9月時点)

表は勤務先の健康保険と雇用保険に入っている会社員の場合です。出産育児一時金は法改正で仕組みが変わることが決まっていますが、開始日はまだ決まっていません。

産休中のお金は出産手当金

対象は産前42日と産後56日に休んだ日

協会けんぽの出産手当金のページによると、「被保険者が出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。」とあります。予定日どおりに生まれれば、最大98日分が対象です。予定日より遅れた場合は、遅れた日数の分も出ます。産休中に給料が一部出ても、その日額が出産手当金の日額より少なければ差額が支給されます。

1日分は標準報酬月額の平均÷30×2/3

計算式は、協会けんぽのよくある質問によると、「【支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)」とあります。直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2が1日分です。標準報酬月額は健康保険料の元になる区分の金額で、手取りとは別物です。加入12か月未満の人は、加入していた月の標準報酬月額の平均と32万円の、低いほうで計算します(支給開始日が2025年4月1日以降の場合)。

国保の人は原則もらえない

出産手当金は本人として健康保険に入っている人の制度で、夫の扶養に入っている妻は対象外です。国民健康保険については、政府の答弁書によると、「出産前後の所得補償である出産手当金については保険者による任意給付としています。」とあります。市区町村の国保では原則として出ず、独自に出しているのは一部の国保組合です。自分もフリーランスで国保なので、この差は調べていて驚きました。

制度 会社員(本人) 専業主婦(会社員の妻・扶養) 自営業・フリーランス(国保)
出産手当金 対象 対象外 原則なし(一部の国保組合に独自給付)
育児休業給付金 雇用保険の条件を満たせば対象 対象外 対象外
保険料 産休・育休中は健康保険・厚生年金が免除 もともと年金保険料の負担なし(第3号) 国民年金が出産前後の4か月分免除。国保料は出産する本人の分が4か月分免除(世帯全員の保険料がなくなるわけではない)。2026年10月から国民年金の育児免除も

出典:協会けんぽ/日本年金機構 産前産後免除/世田谷区 国保の産前産後免除/日本年金機構 育児免除(2026年9月時点)

出産時の一時金を含めた立場ごとの全体像は、別の記事にまとめています。

育休中のお金は育児休業給付金

最初の180日は67%、181日目から50%

育児休業給付金は雇用保険の制度で、休業前2年間に11日以上(または80時間以上)働いた月が12か月以上あることが条件です。額は休業開始時賃金日額×日数×67%で、育休の開始から181日目以降は50%に下がります。母親は産後56日までが産休なので、育休の開始日は出生日から数えて58日目です。支給は原則子が1歳になるまでで、保育所に入れないなどの事情があれば延長できます。

賃金日額の上限は16,540円

厚生労働省のパンフレット(冒頭の表の出典)によると、計算の元になる休業開始時賃金日額には上限があり、2027年7月31日までは16,540円です(下限は3,203円)。30日あたりの上限は、67%の期間で332,454円、50%の期間で248,100円です。上限額は毎年8月1日に見直されるので、休む時点の額を確認してください。

両親とも14日以上なら13%上乗せ

2025年4月に始まった出生後休業支援給付金は、決められた期間の中で本人も配偶者も14日以上の育休を取った場合に、最大28日分、賃金日額の13%を上乗せする制度です。配偶者が専業主婦・自営業・産後休業中などの場合は、配偶者側の条件は問われません。上乗せの上限は28日で60,205円です。父親の産後パパ育休(出生時育児休業給付金・28日上限310,290円)でも、厚生労働省のQ&Aによると、「産後パパ育休(出生時育児休業)を14日以上取得した場合は出生後休業支援給付金も支給されます。」とあります。父親が14日以上休むかどうかで、夫婦の受け取る額が変わります。

父親も14日休むかどうかで、上乗せが付くかが決まります。休み方を決める前に夫婦で一度確認しておくと早いです

標準報酬月額30万円の場合

計算の前提(例)
・協会けんぽに12か月以上加入し、標準報酬月額はずっと30万円
・育休給付の休業開始時賃金日額は10,000円と仮定(賃金日額は雇用保険の決まりで別に計算されるため、計算しやすい数字に置いています)
・予定日どおりに出産し、休業中の給料は出ない
・どちらも上限にかからない(12か月以上加入しているので出産手当金の32万円のルールは関係なく、賃金日額10,000円も育休給付の上限16,540円より低い)

出産手当金は98日で653,366円

1日分は、300,000円÷30=10,000円(10円未満四捨五入)、10,000円×2/3=6,667円(1円未満四捨五入)です。98日分で6,667円×98日=653,366円になります。標準報酬月額30万円なら、産休中の出産手当金は約65万円です。

育休給付は30日あたり201,000円

最初の180日は10,000円×30日×67%=201,000円が30日あたりの額で、181日目以降は10,000円×30日×50%=150,000円です。最初の180日を通すと10,000円×180日×67%=1,206,000円になります。両親とも条件を満たして28日分の上乗せを受ければ、10,000円×28日×13%=36,400円が加わります。この例では、育休の前半は30日で約20万円、後半は約15万円です。

手取りと比べるときの注意

産休・育休中は社会保険料が免除

会社員は産休中も育休中も、健康保険と厚生年金の保険料が本人・会社とも免除です。日本年金機構によると、「なお、この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます。」とあります。払わなくても、年金は納めたものとして計算されます。育休が同じ月の中で終わる場合も、その月に14日以上休めば免除です。ボーナスの保険料が免除されるのは、1か月を超える育休の場合に限られます。

額面ではなく手取りと比べる

67%と聞くと3分の1減るように見えますが、給付からは社会保険料が引かれません。厚生労働省のパンフレットには、67%と13%を合わせた80%について「給付率で手取り10割相当の給付となります。」とあります。給与明細の手取りと、育休給付の30日あたりの額を並べるのが判断の出発点です。

「手取り10割」は条件つき
10割相当になるのは、両親とも14日以上の育休で上乗せを受ける最大28日間だけです。それ以外は67%、181日目からは50%です。賃金日額が16,540円を超える人は上限で頭打ちになり、手取りとの差がさらに開きます。

時短で復帰すると賃金の10%が出る

2歳未満の子のために時短勤務をして賃金が下がった場合は、育児時短就業給付金として時短中の賃金の10%が出ます。ただし支給限度額484,121円(2027年7月31日までの額)があり、その月の賃金と給付の合計が484,121円を超える場合は、超えた分だけ給付が減ります(賃金が484,121円以上なら支給されません)。復帰後に時短を選んでも、下がった賃金の一部は補われます。

お金はいつ振り込まれるか

出産手当金は受付から10営業日以内

出産手当金は休んだ日の分をあとから申請し、産前分と産後分に分けて申請することもできます(会社の証明は毎回必要)。協会けんぽの申請書のページによると、「審査の結果お支払い可能であれば、受付日から10営業日以内にお支払いいたします。」とあります。申請が受け付けられてから10営業日以内が目安です。健保組合の人は組合の案内を確認してください。

育休給付は支給決定から約1週間

育児休業給付金の申請は原則2か月に1回です(希望すれば1か月ごとも可)。厚生労働省のパンフレットによると、「育児休業給付金は届け出た被保険者本人の金融機関の口座に、支給決定後約1週間で振り込まれます。」とあります。原則2か月分ずつの後払いで、支給決定から約1週間で入ります。

初回の入金日は公的には示されていない

厚生労働省の育児休業等給付のページによると、「具体的な支給日はお答えできませんので、予めご了承ください。」とあります。初回の申請期限は、育休開始日から4か月を経過する日が属する月の末日です。最初の入金は会社の申請時期で変わるので、担当者に予定を聞いておくのが確実です。

公的な資料に「初回はいつ」という目安がないのは意外でした。申請の予定は会社に聞くしかなさそうです

入金までの空白期間の備え方

2か月分+αの生活費を先に確保

給料が止まってから給付が入るまでは、貯金で暮らすことになります。育休給付は原則2か月分ずつ入るので、最低でも2か月分の生活費に、初回入金までの読めない期間の分を足して、産休前に手元に置いておくと安心です。これは制度から逆算した自分の考え方で、公的な目安ではありません。出産前後はベビー用品の出費も重なるので、準備費用とあわせて見積もっておくと抜けが減ります。

出産手当金は産前分だけ先に申請できる

産前の42日分だけ先に申請すれば、産後分を待たずに一部を受け取れます。産後にまとめて申請すると、申請が遅いぶん入金も後ろにずれます。分けるたびに会社の証明が要るので、段取りは会社と相談してください。

出産費用のつなぎに無利子の貸付がある

協会けんぽによると、「出産費用に充てるため、出産育児一時金(家族出産育児一時金)の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。」とあります。一時金が入るまでのつなぎとして、無利子で借りられます。直接支払制度を使えば一時金は病院へ直接支払われるので、窓口で大きな金額を払う場面自体が少なくなります。

産休前にやっておくこと
・給付の間隔(原則2か月)を見込んだ生活費を手元に置く
・出産手当金を産前・産後に分けて申請するか会社と決める
・育休給付の申請予定を会社に確認する
・児童手当は出生日の翌日から15日以内に市区町村へ申請する

よくある質問

産休中に会社を辞めても出産手当金はもらえますか?

条件を満たせば、退職後も続けて受け取れます。健康保険に継続して1年以上加入し、退職時に出産手当金を受けているか受けられる状態であることが条件です。退職日に出勤すると条件を満たさなくなります。

育休中の給付金に税金はかかりますか?

かかりません。育児休業給付は非課税で、育休中は社会保険料も免除されるため、給付の67%と13%を合わせた80%で手取り10割相当になると厚生労働省は説明しています。

自営業やフリーランスは産休・育休中のお金がありますか?

出産手当金と育児休業給付金は、ほとんどの場合もらえません。そのかわり、国民年金保険料が出産前後の4か月分免除され、国保の保険料も出産する本人の分が4か月分免除されます(世帯全員の保険料がなくなるわけではありません)。また、2026年10月からは子が1歳になるまでの国民年金保険料の免除も始まります。

まとめ

産休中は出産手当金、育休中は育児休業給付金(最初の180日は67%、以降50%)が出て、その間の社会保険料は免除されます。両親とも14日以上休めば13%の上乗せが付きます。確認しておきたいのは次の3点です。

①自分の標準報酬月額と賃金日額で、給付額を一度計算しておく
②給付は後払いなので、2か月の間隔を見込んだ生活費を先に用意する
③育休給付の上限額は毎年8月1日に変わるので、休む時点の額で確かめる

制度は手厚いのですが、どれも申請してから入る仕組みでした。額と時期を分けて考えると、見通しが立てやすくなります