子どものころのぬいぐるみや、親が買ってくれた市松人形。ごみ袋に入れようとして手が止まる、という話はよく聞く。結論から書くと、選択肢は「社寺に持ち込む」「郵送の代行サービスを使う」「自治体のごみとして出す」の3つで、費用は0円から5,000円台に収まる。そして意外に見落とされているのが、ガラスケースや台座は供養に出せないという点だ。今回は一次情報にあたって、それぞれの条件と金額を確認した。
| 方法 | 費用の例 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 自治体のごみとして出す | 0円〜(粗大ごみなら手数料) | 量が多い/気持ちの整理がついている |
| 社寺に持ち込む | 1体2,000円〜、一箱5,000円など | 近くで受け付けている社寺がある |
| 郵送の供養代行サービス | 一箱5,000円+送料 | 持ち込めない/通年で申し込みたい |
人形・ぬいぐるみは自治体のごみとして出せる
まず前提として、人形もぬいぐるみも一般的な家庭ごみの区分に収まる。横浜市のごみ分別辞典を引くと、ぬいぐるみは燃やすごみ、人形も燃やすごみで、ガラス製・陶器製は燃えないごみ、金属製は小さな金属類という扱いになっている。いずれも一番長い辺が50cm以上(金属製は30cm以上)なら粗大ごみだ。人形ケースはプラスチック製なら燃やすごみに分類されている。
つまり技術的には、明日にでも捨てられる。それでも手が止まるなら、それは分別の問題ではなく気持ちの問題ということになる。供養という選択肢は、そこを埋めるためのものだ。
供養にかかる費用は「1体いくら」か「一箱いくら」
社寺の受付方法は大きく2通りある。体数で数える方式と、箱の大きさで数える方式だ。実際に受け付けている社寺の公表額を並べる。
| 受付先 | 初穂料・料金 | 単位 |
|---|---|---|
| 富岡八幡宮(東京都江東区) | 30cm以下は1体2,000円より/10体10,000円より | 体数 |
| 同上(31〜100cm) | 1体3,000円より/5体10,000円より | 体数 |
| 田無神社(東京都西東京市) | 一箱5,000円(あふれる場合は追加3,000円) | 箱(70×45×45cm) |
| 日本人形協会の代行サービス | 一箱5,000円+ゆうパック料金(追加一個につき2,000円) | 箱(3辺合計170cm・30kg以内) |
体数方式は数が少ないときに安く、箱方式はまとめて出すときに安い。ぬいぐるみが10体あるなら箱方式のほうが有利になる。
持ち込みが難しい場合は郵送の代行がある。一般社団法人日本人形協会は日本郵政と提携し、「ゆうパック」による代行サービスを通年で行っている。申し込むと差出キットが届き、自分で梱包して送る仕組みだ。同協会は「何かの事情で人形を保存できなくなった場合は、全国各地の社寺で行っている人形供養(人形感謝祭)に持参し、若干の供養料を添えて納めるのがよいでしょう。」とも案内している。
ガラスケース・台座・屏風は受け付けてもらえない
日本人形協会の代行サービスは、受付できないものとして「付属するガラスケース、収納箱、飾り台、台座、屏風、道具類など」を挙げている。富岡八幡宮も「ガラスケース等はお宅で処分してください。」としている。田無神社も台座など取り外せるものは外して持参するよう求めている。
ケースは自治体のルールに従って出すことになる。ガラスなので割れないよう包み、品名を書いて出すのが基本だ。
また、田無神社は受付の対象について、かぶと・よろい人形以外で目のないものは預かれないとしている。日本人形協会も「顔がついているもの」を基準に置いており、マネキンや仏像は対象外だ。ロボットのおもちゃやフィギュアが供養の対象になるかは、受付先によって判断が分かれる。事前に確認したほうがいい。
供養の申し込みには締切がある
もうひとつ見落としやすいのが時期だ。日本人形協会の代行サービスで集まった人形は、毎年10月頃の東京大神宮の人形感謝(供養)祭で供養される。同協会は、前月9月末日までに供養代金を振り込んだ人までがその年の対象で、10月以降の振込は翌年度の供養になると案内している。急いで送っても、供養そのものは年に一度ということだ。
社寺の感謝祭も同様で、田無神社のお人形感謝祭は毎年8月第1日曜日に行われ、事前受付期間が設けられている。「思い立った日に持っていけば引き取ってもらえる」とは限らない。
遺品整理を業者に頼む場合は、供養をオプションとして扱う会社もある。遺品整理プログレスは提携寺院での合同供養を段ボール2個まで無料としている。整理と供養をまとめたいなら、見積もり時に供養の可否と費用を聞いておくといい。
よくある質問
ぬいぐるみを神社に持っていけば必ず供養してもらえますか?
受け付けている社寺と、受け付けていない社寺がある。今回確認した富岡八幡宮と田無神社はいずれも受付日時と初穂料を公表しており、田無神社は年1回の感謝祭にあわせた事前受付制だった。持ち込む前に、その社寺が人形供養を行っているか、いつ受け付けているかを必ず確認してほしい。
供養に出さずに捨てるのは良くないことですか?
良し悪しを決めるのは本人であって、決まったルールがあるわけではない。日本人形協会のQ&Aも、保存できなくなった場合の選択肢として供養を挙げているだけで、供養しなければならないとは書いていない。自治体のごみとして出すのは正規の方法であり、気持ちの区切りがついているならそれで問題ない。
人形供養の費用はいくらくらい見ておけばいいですか?
今回確認した範囲では、1体2,000円からの体数制と、一箱5,000円の箱制があった。郵送の代行サービスは一箱5,000円にゆうパック料金が加わる。数体なら2,000〜3,000円台、段ボール1箱分なら5,000円台と見ておくと近い。

まとめ
人形とぬいぐるみは自治体のごみとして出せる。それでも手が止まるなら、社寺の供養(1体2,000円〜、または一箱5,000円)か、日本人形協会の郵送代行(一箱5,000円+送料)という選択肢がある。ただしガラスケースや台座、屏風は供養の対象外で、自分で処分することになる点は先に把握しておきたい。
供養祭は年に1回というところが多く、申込の締切もある。「そのうち」と思っているうちに1年ずれることもあるので、決めたら受付期間を先に調べるのが早い。









