本棚を空にしたい、段ボール何箱もの漫画をどうにかしたい。そういうときに出張買取や宅配買取を考えるが、本には他の品物と違うルールが2つある。結論から書くと、書籍は特定商取引法の訪問購入から除外されているためクーリング・オフができない。その一方で、古物営業法では金額に関わらず本人確認が必要な品目に指定されている。守られていないのに手続きだけは厳しい、という組み合わせだ。フィギュアやトレカなどのホビーは扱いが変わるので、そこも分けて整理する。
| 品目 | クーリング・オフ | 少額でも本人確認 |
|---|---|---|
| 本・漫画・雑誌 | できない | 必要 |
| CD・DVD・ブルーレイ | できない | 必要 |
| 家庭用ゲームソフト | できない | 必要 |
| フィギュア・トレカ・玩具 | できる | 1万円以上で必要 |
| 稀少本・収集品として扱われる物 | できる場合がある | 必要 |
書籍はクーリング・オフの対象から外れている
特定商取引に関する法律施行令第34条は、訪問購入の対象から6種類の物品を除いている。条文は「法第五十八条の四の政令で定める物品は、次に掲げる物品とする。」として、自動車、家庭用電気機械器具、家具、書籍、有価証券、そして「レコードプレーヤー用レコード及び磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物」を挙げる。
消費者庁の具体例では、書籍の欄に「事典、全集物、写真集、問題集、雑誌、単行本」が並ぶ。漫画の単行本もここに入る。6番目の分類にはCD、DVD、ブルーレイ、家庭用ゲームのプログラムを記録した物が含まれる。本もCDもゲームソフトも、出張買取で売ったあとに取り消す制度はない。
この除外の理由について、消費者庁の通達は、書籍や記録媒体は一度に大量の個数が購入されるという商慣習があることを挙げ、規制対象とすると流通が著しく害されるおそれがある、という整理をしている。消費者保護よりも流通の円滑さが優先された結果ということだ。
逆に、本人確認は少額でも省略できない
古物営業法第15条第1項は「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。」と定めている。取引額が小さければ免除される規定があり、古物営業法施行規則第16条第1項は「法第十五条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める金額は、一万円とする。」としている。
ところが同条第2項は、金額が1万円未満でも確認が必要な古物を列挙しており、そこに書籍が入っている。ほかに「専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物」、「光学的方法により音又は影像を記録した物」、「自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く。)を含む。)」などが並ぶ。
買取額が数百円でも、本を売るなら身分証の提示を求められる。求められないほうが法律上おかしい。運転免許証やマイナンバーカードを手元に用意しておきたい。
ホビーと稀少本は扱いが変わる
フィギュア、トレーディングカード、玩具、アニメグッズは施行令第34条のどの分類にも入らない。したがって訪問購入の対象で、クーリング・オフも引渡し拒絶権も使える。同じ日に本とフィギュアを売ると、片方だけ8日間の猶予がある、という状態になる。
稀少本にも例外がある。通達は「骨とう品又は収集品として取引されるような物品(例えば、新品であった場合の販売価格以上の金額で取引されるような物品)については、政令第34条各号に掲げられている物品に分類される可能性がある物品であっても、骨とう品(日本標準商品分類上の分類コード943)又は収集品(同分類コード942)として規制の対象に置かれる、と解する。」としている。初版本や絶版本が定価を超える値で取引されるなら、書籍だからと諦めなくてよい。
どこに出すか
ブックオフの買取案内は、宅配買取の対象を本・CD・DVD・ゲームとし、店頭買取ではトレカ、ホビー、アニメグッズなども扱うとしている。出張買取についても出張費が無料であると案内している。買取王子は宅配買取を1点から受け付け、対応品目は60種類以上、送料・査定料・返送料と買取箱をいずれも無料としている。
よくある質問
本の買取でクーリングオフはできますか?
できない。特定商取引に関する法律施行令第34条が書籍を訪問購入の対象から外しているためである。消費者庁の具体例には事典、全集物、写真集、問題集、雑誌、単行本が挙がっている。CDやDVD、家庭用ゲームソフトも別の号で除外されている。金額に納得してから契約する必要がある。
本を売るのに身分証は必要ですか?
必要である。古物営業法第15条が古物商に相手方の確認を義務づけており、施行規則は1万円未満の取引を免除の対象としつつ、書籍をその例外として挙げている。つまり買取額が少額でも確認が省略できない。ゲームソフトやCD・DVDも同じ扱いである。
フィギュアやトレカも本と同じ扱いですか?
違う。フィギュアやトレーディングカードは施行令第34条の除外品目に入っていないため、出張買取ならクーリング・オフの対象になる。また稀少本のように、新品時の販売価格以上で取引されるような物は骨とう品や収集品として規制の対象に置かれると通達が説明している。

まとめ
書籍とCD・DVD・ゲームソフトは訪問購入から除外されており、出張買取でもクーリング・オフができない。一方で古物営業法では少額でも本人確認が必要な品目に指定されている。身分証を用意し、金額に納得してから契約する。
フィギュアやトレカ、そして収集品として扱われる稀少本は事情が違い、クーリング・オフの対象になる。同じ日に売る物でも扱いが分かれるので、明細は品目ごとに分けて出してもらうと後で困らない。











