引き取りの日は決まった。あとは当日を待つだけ——のはずが、「電源っていつ抜けばいいんだ」で手が止まります。何日も前に抜けば中身が傷みますし、直前に抜けば水浸しになりそうで怖い。先にお伝えしておくと、冷蔵庫本体を守るという意味では電源プラグは直前で構いません。ただし霜取りと水抜きを終わらせるには、前日に切っておく必要があります。同じ「電源を抜く」でも、目的が2つあってタイミングが違うんです。ここを分けて考えると、前日までの段取りがすっきりします。
| 時期 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 2〜3日前 | 自動製氷機能を止める/食材を減らし始める | 製氷部分の霜取りに時間がかかる |
| 前日 | 庫内を空にして電源を切り、扉を開けておく | 霜はすぐには溶けない |
| 当日 | 蒸発皿の水抜き/庫内の異物チェック/掃除 | 水が残っていると運搬中にこぼれる |
| 運び出す直前 | 電源プラグを抜き、扉とコードをテープで固定 | プラグ自体は直前で問題ない |
電源プラグそのものは「直前」で問題ない
ここが最初の誤解になりやすいところです。冷蔵庫は精密機器だから何時間も前に止めておくもの、という漠然としたイメージがありますが、メーカーの説明はそうではありません。日立グローバルライフソリューションズは冷蔵庫を運搬するときの注意点として、「電源プラグは移動直前に抜いても、冷蔵庫に問題はありません。」と明記しています。買い替えで入れ替える場合についても、同社は「冷蔵庫の電源プラグは、入れ替え直前に抜いていただいても問題ありません。」としています。
ただし例外があります。同じページには「移動時間が長いときは電源プラグを早めに抜き、全ての扉を開け放して庫内をしっかり乾燥させてください。」という注意が添えられています。理由は故障ではなく臭いで、庫内が濡れたままだと温度差で結露し、雑菌臭の原因になるという説明です。処分のために業者へ引き渡すだけなら短時間で済みますが、引っ越し先まで運ぶなら早めに抜いて乾かすほうがいいです。
「前日に電源を切る」が必要なのは霜取りのため
では、なぜ世の中では前日に切るよう言われるのか。答えは霜です。家電製品協会は冷蔵庫の処分前の準備について、「霜はすぐに溶けないため、冷蔵庫を動かす前日には電源を切っておきましょう。」と案内しています。つまり前日に切るのは本体の保護のためではなく、氷を溶かしきるための時間を確保するためです。
自動製氷機能がついているなら、もう少し早めになります。同協会は「また、自動製氷機能が付いている場合は、製氷機も同様に霜取りが必要です。こちらは2〜3日前には機能を停止しておきます。」としています。給水タンクの水と製氷室の氷を捨てるのも、同じタイミングでいいです。
この2つを並べると、冒頭の話に戻ります。プラグを抜く行為自体は直前でよく、前日に切るべきなのは「霜と水を片づけるため」。逆にいえば、霜取りが終わっているなら前倒しにこだわる必要はありません。
中身はいつまでに空にするか
庫内を空にするのは、前日までに済ませたいところです。理由は2つあります。
ひとつは食材の逃げ場です。買い替えの場合、新しい冷蔵庫が届いてすぐに使えるわけではありません。家電製品協会は、庫内の食材を早めに処分・整理しておくべき理由として、「新しい冷蔵庫に電源を入れてから庫内が冷えるまでに冬場でも4〜5時間かかります」と説明しています。日立はさらに幅を持たせ、「設置したばかりの冷蔵庫は、庫内が完全に冷えるまでに約4時間程度かかります。また、夏場など暑いときは24時間以上かかることもあります。」としています。夏の入れ替えなら、その日は冷蔵庫がないものとして食事を組み立てたほうが無難です。
もうひとつの理由がこちらです。経済産業省のFAQは、小売業者が引取義務を免れる「正当な理由」のひとつとして「排出者が冷蔵庫や洗濯機内の生ゴミ、缶・ビン、衣類等の異物除去を行わない場合」を挙げています。家電製品協会も、引渡し当日までに「異物が残っていないか、最後に必ず引き出しやトレー部分などをしっかり確認してください」としています。奥に転がった缶や、野菜室の底に残った野菜くずは見落としやすいところです。
水抜きのやり方
霜が溶けた水は、庫内から蒸発皿(水受けトレイ)へ流れて溜まります。これを捨てるのが水抜きです。家電製品協会は、処分前の準備として蒸発皿の水抜きをすることと、「これらの作業を行わずに冷蔵庫を動かすと、水がこぼれてしまいます。」と注意しています。
具体的な手順は日立の案内が分かりやすいです。同社は「冷蔵庫の下に布などを敷き、冷蔵庫を後方に倒して背面下部より水抜きをします」としています。機種によっては専用の栓がついていて、「機種によっては水抜き栓がついていますので、倒す前に取りはずしてください。」とのことです。栓の位置は取扱説明書で確認します。他社の冷蔵庫でも蒸発皿の考え方は同じですが、外し方や倒し方の指定はメーカーごとに違うので、自分の機種の説明書を先に見ておきたいところです。
水を捨てないとどうなるかも同社は書いています。「水を捨てていないと、運び出すときに水がこぼれてしまいます。」——廊下やエレベーターを濡らすと、後片づけが面倒です。運び出す側に立ってみると、この工程を飛ばされているかどうかは持ち上げた瞬間に分かります。大学の春休みに引っ越し業者のバイトをしていたときも、冷蔵庫を傾けて水が垂れてくると、そこで作業が一度止まりました。前日の30分をけちると、当日の全員が待たされます。
横倒しにして運んでもいいのか
軽自動車に積むために横に寝かせたい、という発想は自然ですが、これは避けたほうがいいです。日立は横積み運搬を禁止する理由について、「冷蔵庫自体が縦方向の衝撃には強くても、横からの衝撃には弱いためです。」と説明しています。加えて「また、冷蔵庫は横積み運搬に耐えられる梱包になっていないため、本体に傷やへこみが生じたり、配管が変形・破損し、故障する可能性があります。」ともあります。
ただし、ここは早合点しやすいところです。同社は続けて「搬入や引っ越し、模様替えのときなどに一時的に横にして運ぶことは問題ありません。」としています。禁止されているのはトラックに横倒しで積んだまま走らせることであって、玄関を抜けるときに一瞬傾ける程度の話ではありません。運搬中の姿勢について同社は「冷蔵庫の故障の原因となりますので、運搬時は横積みしないでください。」とまとめています。
なお、これから捨てる冷蔵庫なら故障は問題にならないと考えたくなりますが、傷んだ配管から冷媒が漏れるのは望ましくありません。処分するものでも縦のまま運ぶのが原則です。
掃除はどこまでやるか
引き取ってもらうだけなら、磨き上げる必要はありません。ただ、日立は入れ替え当日の準備として、動かす前に本体の掃除をしておくとよいとしています。天面や側面に溜まったほこりのことです。冷蔵庫をどけたあとの床と壁を拭けるように、雑巾と掃除機を出しておくとその後がスムーズになります。買取査定を受けるつもりなら、印象を左右するので庫内も拭いておきたいところです。
よくある質問
冷蔵庫の電源は処分の何日前に抜けばいいですか?
本体への影響という意味では、日立は移動直前に抜いても問題ないとしています。一方、霜取りと水抜きを終わらせるには時間が必要で、家電製品協会は動かす前日に電源を切るよう案内しています。自動製氷機能つきなら2〜3日前に機能を止めておきます。目安としては「前日に切って一晩かけて霜を溶かす」と考えておけば大丈夫です。
中身が入ったままでも引き取ってもらえますか?
断られることがあります。経済産業省のFAQは、庫内の生ゴミや缶・ビンなどの異物除去を行わない場合を、小売業者が引き取りを断れる正当な理由のひとつに挙げています。指定引取場所でも庫内に残った食品は引き取りません。引き出しやドアポケットの奥まで確認しておきたいところです。
冷蔵庫を横にして車に積んでもいいですか?
横積みでの運搬は避けてください。日立は、冷蔵庫が横からの衝撃に弱く、横積みに耐える梱包にもなっていないため配管が変形・破損する可能性があると説明しています。ただし搬出時に一時的に傾ける程度は問題ないとしています。積み方に不安があるなら、収集運搬を業者に頼むほうが結果的に安全です。

まとめ
冷蔵庫の処分で電源を抜くタイミングは、目的で分けて考えるのが正解です。本体を守るという意味では直前でよく、霜取りと水抜きを終わらせるという意味では前日に切る。自動製氷機能があれば2〜3日前に止めておく。この3段階を押さえれば、当日に慌てることはありません。
当日にやるのは、蒸発皿の水抜き、庫内の異物チェック、扉と電源コードの固定の3つです。運ぶときは縦のまま。ここまで済ませておけば、あとは引き渡すだけになります。










