ベッドを捨てようとしてネジに工具をかけたら、六角の穴が潰れていて回らない。あるいは20年使ったフレームのボルトが錆びついて、まったく動かない。ここで「解体できないと捨てられないのでは」と手が止まる人は多い。結論から書くと、多くの自治体では解体しても粗大ごみの手数料は変わらないので、解体できないこと自体は処分の障害にならない。実際に問題になるのは、解体の可否ではなく「玄関から出せるか」と「自治体の重さ・長さの上限に収まるか」の2点だ。この記事では3つの自治体の実際の規定を並べて確認する。
| 自治体 | ベッド本体(マットレス除く) | 二段ベッド・ロフト型 |
|---|---|---|
| 東京都江東区 | シングル1,300円 ダブル・セミダブル1,300円 | 二段ベッド2,300円 パイプベッド(ロフト型を含む)1,300円 |
| 大阪市 | 1,000円(サイズ区分なし) | 個別の区分なし |
| 名古屋市 | 1,500円(サイズ区分なし) | 個別の区分なし |
※江東区は粗大ごみ品目一覧表(2025年1月更新)、大阪市は粗大ごみ処理手数料一覧表(2025年8月更新)、名古屋市は粗大ごみ手数料のめやす(2026年6月更新)の掲載額。名古屋市は収集日が2026年10月1日以降となる分から手数料を改定すると告知している。
解体しても手数料は安くならない
まず押さえたいのが、料金の判定基準だ。世田谷区は処理手数料のページで「粗大ごみの処理手数料は、原則として解体前の大きさで決まります」としたうえで、「解体が可能なもの(スチール製の棚、ベッド、タンス、テーブル等)であっても、解体しても手数料は変わりません」と明記している。ベッドを名指しで挙げているのがポイントだ。
江東区も同じ考え方で、粗大ごみ手数料のページに「分解できる箱物家具(棚やラックなど)の寸法は分解前のものが基準となります」と書いている。つまり、汗をかいて分解しても支払う額は同じということになる。逆にいえば、解体できないまま申し込んでも金額は変わらない。
ただし「バラバラのままでよい」わけではない。江東区は「粗大ごみは分解した状態で排出していただけますが、バラバラにならないよう紐等でおまとめください」としている。大阪市も「解体している場合は、解体したことがわかるように紐やテープなどでまとめてお出しください」と案内している。中途半端にネジを外して部材が散らばると、かえって出しにくくなる。
二段ベッドとロフトベッドは自治体で扱いが割れる
「二段ベッドは2台分の料金になるのか」という不安もよく聞くが、3自治体を見るかぎり2倍にはならない。江東区はベッド(シングル)1,300円に対し、二段ベッドを2,300円という上位の区分に置いている。1台分より高いが2台分ではない。
一方、大阪市はベッド本体(マットレス類を除く)を1,000円の一区分にまとめており、二段ベッドという品目自体を設けていない。名古屋市もベッド(マットレスを除く)1,500円の一区分だ。つまり二段ベッドで区分が上がるのは、今回調べた3自治体では江東区だけだった。「二段ベッドは高い」と一般化はできない。
ロフトベッドはさらに紛らわしい。江東区の品目一覧では、ロフト型はベッド(シングル)と同じ1,300円の区分にあり、パイプベッドの欄にも「ロフト型を含む」と注記されている。高さがある分だけ高額になりそうに見えて、実際は標準的なベッドと同額だ。見た目の大きさと料金は必ずしも比例しないので、思い込みで判断せず品目名で確認したほうがよい。
本当の関門は重さと長さの上限
解体できないベッドで実際に詰まるのは、料金ではなく物理的な制約のほうだ。江東区は粗大ごみ手数料のページで「最大辺が180cmを超えるもので切断できないものは清掃事務所へお問い合わせ下さい」とし、さらに「重さが50kgを超えると区で回収することができない場合があります」と付け加えている。
ベッドフレームの長辺は、シングルでもこの180cmの線に触れる可能性がある。解体が料金を下げないのは事実でも、収集そのものを成立させるためには分解が必要になる場面があるということだ。順番としては、まず自治体に「解体できない」と伝えて相談するのが早い。
・自宅の玄関・廊下・階段を、組み立てた状態のまま通せるか
・自治体が定める最大辺や重量の上限に触れないか(江東区は最大辺180cm・重量50kgが目安)
・鉄フレームを切断する場合、切断面の処理まで自分でできるか
潰れた六角ネジを回そうとして工具が滑ると、力の向きによっては手を切る。無理をするより、収集の可否を先に電話で確認したほうが結果的に早い。
マットレスは別料金なので忘れずに
3自治体とも、ベッド本体の手数料は「マットレスを除く」と明記されている。江東区はベッド用マットレス(シングル)1,300円、大阪市はスプリングマットレス(シングル)700円、名古屋市はマットレス(ベビー用を除く)1,000円をそれぞれ別に定めている。フレームとマットレスで2点分の申し込みが必要になる。
運び出せない場合は回収業者だが、金額の桁が変わる
階段しかない上階や、玄関の幅が足りない部屋では、自治体の収集に間に合わせられないことがある。その場合は民間の不用品回収になるが、金額は自治体の粗大ごみとは別世界だ。一括見積もりサイトのエコノバは単品回収の料金相場としてシングルベッド5,000円〜を掲げている。関東で回収を行うパワーセラーはベッドを「別途見積」とし、「合計金額が8,000円~10,000円のお客様からの出張となります」と最低ラインを示している。ベッド1点だけを頼むと割高になりやすい形だ。
依頼先を選ぶときは許可の有無を確認したい。国民生活センターは2022年11月に不用品回収サービスのトラブルについて注意喚起し、「インターネットやチラシ等で広告を大々的に出している事業者が必ずしも一般廃棄物処理業の許可業者とは限りません」と述べている。同センターによれば、この種の相談は2021年度に2,231件と2018年度の1,354件から増えている。
よくある質問
ベッドのネジが回らず解体できません。そのまま粗大ごみに出せますか?
組み立てた状態のまま収集の対象になる自治体が多い。世田谷区は解体しても手数料は変わらないと明記しており、解体は料金上の意味を持たない。ただし江東区のように最大辺180cm超や重量50kg超で扱いが変わる自治体もあるため、申し込み時に「解体できていない」と伝えて可否を確認するのが確実だ。
二段ベッドは2台分の料金になりますか?
今回確認した3自治体では2倍にはならなかった。江東区は二段ベッド2,300円で、シングルの1,300円より1区分上。大阪市と名古屋市は二段ベッドという品目を設けておらず、ベッド本体として大阪市1,000円、名古屋市1,500円で扱われる。
ベッドを細かく切って普通ごみで出せますか?
自治体によって基準が違う。江東区は一辺おおむね30センチ以上を粗大ごみとし、大阪市は最大の辺または径が30センチメートルを超えるものを粗大ごみとしている。理屈のうえでは基準未満まで小さくすれば別区分になるが、木製フレームでもかなりの作業量になり、スチール製は現実的でない。手数料が数百円から千数百円である点と天秤にかけたい。

まとめ
ベッドが解体できないときに確認する順番は、料金ではなく制約のほうからだ。世田谷区や江東区の規定が示すとおり、解体は手数料を下げない。にもかかわらず解体が必要になるのは、最大辺や重量の上限に触れるときと、部屋から出せないときに限られる。
料金そのものは、江東区1,300〜2,300円、大阪市1,000円、名古屋市1,500円と自治体ごとに違い、二段ベッドやロフト型で区分が上がるかどうかも一律ではない。まず自分の自治体の品目一覧でベッドの行を確認し、そこに書かれていない事情(解体不能・運び出せない)は電話で伝える。これが遠回りに見えていちばん早い。
大型のものを手放す段取りという意味では、一人暮らしの引越し前に不用品を処分する方法も参考になる。









