新しい冷蔵庫を買う予定はない。ただ古い1台を消したいだけ——。この「買い替えなしの処分」でつまずく人は多いです。粗大ごみに出そうとしても受け付けてもらえない、量販店に電話すると「買っていただいた商品でないと」と言われる。それでも処分する道はありますが、通れるルートは3つに限られます。そして冷蔵庫だけは、自治体の粗大ごみには出せません。
| ルート | かかる費用 | 手間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ① 買った店に引き取りを頼む | リサイクル料金+収集運搬料金 | 電話1本+在宅 | 購入店が分かる人 |
| ② 指定引取場所へ自分で運ぶ | リサイクル料金+振込手数料のみ | 郵便局+車+積み下ろし | 車と人手を用意できる人 |
| ③ 自治体の案内する方法で頼む | リサイクル料金+収集運搬料金 | 自治体窓口へ確認 | 購入店が不明で運べない人 |
買い替えなしでも、量販店に引き取り義務がある場合がある
まず誤解を解いておきます。家電量販店の引き取り義務は、「買い替えのとき」だけに生じるものではありません。経済産業省のFAQは小売業者の引取義務について、「自らが過去に販売した家電4品目の引き取りを求められたとき」と「買換えの際に同種の廃家電4品目の引き取りを求められたとき」の2つを挙げています。つまりその冷蔵庫を買った店であれば、買い替えなしでも引き取る義務があります。
では、買った店ではない量販店には頼めないのかというと、そうとも限りません。同じFAQには「小売業者は、引取義務がない家電4品目も引き取ることができます」とあります。義務ではありませんが、有料で受けている店は実際に存在します。断られたら次を当たる、という進め方になります。
逆に注意したいのは品目のずれです。FAQは「販売した製品と同種の家電に限って引取義務が生じます」としています。テレビを買った店に冷蔵庫を持ち込んでも、義務は生じません。
冷蔵庫は自治体の粗大ごみには出せない
ここが最大のつまずきどころです。冷蔵庫は家電リサイクル法の対象4品目なので、多くの自治体は粗大ごみとして受け付けていません。横浜市は該当ページの表題を「市では収集しない『家電製品』の出し方」とし、本文でも「横浜市では回収できませんのでご注意ください」と明記しています。
ごみの出し方は自治体ごとに違うので、ここは必ず自分の市区町村のページを確認してください。ただし「家電4品目は家電リサイクル法のルートで処分する」という枠組み自体は法律で決まっているので、粗大ごみとして出せる自治体はまず無いと考えたほうがいいです。
ルート①:その冷蔵庫を買った店に引き取りを頼む
買った店が分かるなら、これが一番早いです。前述のとおり引取義務があるので、原則として断られません。費用はリサイクル料金と収集運搬料金の合計になります。収集運搬料金は店ごとに違って、公表値を確認できた量販店では冷蔵庫1台あたり1,100円から7,700円まで開きがありました。各社の条件と金額は比較記事にまとめています。
なお、レシートや保証書が残っていなくても、購入店が特定できていれば依頼はできます。まずは電話で「そちらで買った冷蔵庫を、買い替えなしで引き取ってほしい」と伝えるところからです。
ルート②:郵便局で払って指定引取場所へ自分で運ぶ
費用を最小にしたいなら、この方法になります。経済産業省のFAQは「家電4品目を排出者自身で指定引取場所に持ち込む場合は、収集運搬料金はかかりません」としています。数千円かかる部分がまるごと消えます。
ただ、ここは正直に書いておきます。大学の春休みに引っ越し業者の短期バイトをしていて、冷蔵庫は何度も運びました。2ドアの小さいものでも、階段が絡むと1人ではまず無理です。台車と、床の養生と、もう1人。この3つが揃わないなら、収集運搬料金を払って引き取ってもらうほうが結果的に安く済みます。壁や自分を傷めてからでは元が取れません。
手順は家電製品協会の案内どおりに進めます。
- 冷蔵庫のメーカー名と、扉の内側のシールに書かれた「全定格内容積」をメモする
- 郵便局の貯金窓口で家電リサイクル券(料金郵便局振込方式)を受け取り、記入してリサイクル料金を払う
- 振替払込受付証明書に日附印を押してもらい、券の「指定引取場所控」に貼る(ATM振込ならご利用明細票の写しで代用可)
- 冷蔵庫と券の綴り一式を持って指定引取場所へ運ぶ
細かいけれど効いてくる注意点が2つあります。ひとつは券を受け取る窓口です。協会は「郵便局用の家電リサイクル券は、平日、簡易郵便局以外の郵便局で、貯金窓口にてお求めください。」としています。土日やゆうゆう窓口、ATMコーナーでは券を受け取れません。もうひとつは搬入先の営業日で、「指定引取場所は臨時営業・臨時休業する場合があります」。運んでから閉まっていた、では目も当てられないので、事前に電話しておきたいところです。
ルート③:買った店が分からない、あるいは自分では運べないとき
このときの窓口は自治体になります。横浜市の場合、処分のみで購入店が不明なケースを2つに分け、自分で運べるなら家電リサイクル券センター(0120-319-640)へ、運べないなら横浜家電リサイクル推進協議会へ、と案内しています。同じ構造の窓口を用意している自治体は多いのですが、名称も連絡先も地域ごとに違います。「(自治体名)家電リサイクル」で検索するのが早いです。
もうひとつの道として、引取義務のない店に相談することもできます。前述のとおり義務外の引き取りは禁じられていないので、近所の量販店や地域の電器店が有料で受けてくれる場合があります。
引き取りの前にやっておくこと
経済産業省のFAQは、小売業者が引取義務を免れる「正当な理由」のひとつとして「排出者が冷蔵庫や洗濯機内の生ゴミ、缶・ビン、衣類等の異物除去を行わない場合」を挙げています。家電リサイクル券センターも「庫内に残った食品等」は一緒に引き取れないものとしています。庫内は空にしておいてください。電源を切るタイミングや霜取り・水抜きの要否は、依頼先の案内に従ってください。
もうひとつ、自分で分解しないことです。FAQは解体した家電や部品だけの引き取りは困難だとしています。運びやすくしようとして扉を外すと、かえって受け付けてもらえなくなります。
よくある質問
買い替えなしでも家電量販店は冷蔵庫を引き取ってくれますか?
その冷蔵庫を買った店であれば、買い替えなしでも引き取り義務があります。買った店以外は義務ではありませんが、義務のない品を引き取ること自体は認められているため、有料で受けている店もあります。いずれの場合もリサイクル料金と収集運搬料金がかかります。
冷蔵庫を粗大ごみとして出すことはできますか?
できないと考えてよいです。冷蔵庫は家電リサイクル法の対象4品目で、横浜市のように「市では収集しない家電製品」として明示している自治体が多くあります。出し方は自治体ごとに異なるので、自分の市区町村のごみ分別ページを確認してください。
買った店がつぶれてしまった場合はどうすればいいですか?
経済産業省のFAQは、小売業者について「廃業後は引取義務が生じません」としています。この場合は購入店が分からない場合と同じ扱いになり、自治体の案内する方法か、指定引取場所への自己搬入で処分することになります。

まとめ
買い替えなしの冷蔵庫の処分は、①買った店に頼む、②郵便局で払って指定引取場所へ自分で運ぶ、③自治体の案内する方法で頼む、の3つに整理できます。安さで選ぶなら②、手間の少なさで選ぶなら①です。粗大ごみという4つ目の選択肢は、冷蔵庫には存在しません。
どのルートでも最初にやることは同じで、メーカー名と全定格内容積を控えることです。この2つが分かればリサイクル料金が確定して、あとは運び方を決めるだけになります。
引っ越しにともなう不用品の処分全体については一人暮らしの引越し前に不用品を処分する方法、日常のごみの分け方は一人暮らしのゴミ分別・出し方完全ガイドで扱っています。









