遺品整理で刀が出てきたら|警察への届出と登録の手順

遺品整理で刀が出てきたら|警察への届出と登録の手順

押し入れの奥や仏間の天袋から、布に巻かれた刀が出てくることがある。触ってよいのか、持っているだけで違法にならないのか、まず不安になる。結論から書くと、やるべきことは「見つかった地域を管轄する警察署に発見の届出をする」ことが最初で、そのあとに都道府県の教育委員会で登録を受けるという二段構えになる。銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)が定めた手順で、模造刀か本物かの見分けがつかない段階でも、届け出て判断してもらえばよい。

順番やること窓口
1発見の届出をして発見届出済証を受け取る見つかった地域を管轄する警察署
2登録審査会で鑑定を受け登録証の交付を受ける都道府県の教育委員会
3(登録不可のとき)登録不可通知書とともに引き渡して廃棄所轄警察署
別ルート(登録証がある刀を相続)20日以内に所有者変更の届出登録事務を行った都道府県の教育委員会

まず警察署に発見の届出をする

銃砲刀剣類所持等取締法23条は、銃砲等または刀剣類を発見し、または拾得した者は、速やかにその旨を最寄りの警察署に届け出なければならないと定めている。遺品整理中に出てきた刀はこの「発見」に当たる。

東京都教育委員会の案内では、この届出をすると発見届出済証が交付されると説明されている。同じページには「登録は、発見した人が住んでいる都道府県教育委員会で行うことが原則です。」と書かれており、届出先の警察署(見つかった場所を管轄)と、登録先の教育委員会(発見した人の住所地)が別々になりうる点は覚えておきたい。

登録に進むには公的機関の証明書が要る。東京都教育委員会は「登録する際には、必ず、公的機関の証明書がないと登録できません。」としており、発見届出済証のほか、輸入時の引渡書や所持許可証などが証明書の例として挙げられている。手ぶらで審査会に行っても手続は進まない。

登録を受けて初めて所持できる

銃刀法3条1項は、法令に基づく場合などを除き、何人も銃砲等または刀剣類を所持してはならないと定めている。その例外の一つが同法14条の登録で、都道府県の教育委員会が、美術品もしくは骨とう品として価値のある火縄式銃砲等の古式銃砲、または美術品として価値のある刀剣類を登録するとされている。同条2項は、登録を受けようとする所有者が、その住所の所在する都道府県の教育委員会に登録の申請をしなければならないと定めている。

登録の可否は登録審査委員の鑑定で決まる(同条3項)。東京都の場合、登録申請書を提出して審査会の予約を行い、発見届出済証とともに受付に提出する。手数料については「登録する数に応じた登録審査手数料(1振(丁)につき6300円)を納入します。」と案内されている。この手数料は、審査の結果として登録不可通知書の交付となった場合も返還されない旨が明記されている。

日本刀として登録される条件についても、玉鋼が使用され、繰り返し鍛えられて焼きが入れてあり、美術品として姿・鍛え・刃文・彫り物等に美しさが認められるものであることが必要だと説明されている。土産物の模造刀や、いわゆる軍刀のうち機械生産のものは、登録の対象にならない場合がある。

⚠️ 手続の細部は都道府県で異なる
東京都教育委員会は登録案内のページで「このホームページで説明してあるものは、東京都に限った手続方法です。」と断り、道府県では異なる処理方法をとっている場合があるので必ず問合せを行ってから手続するよう求めている。手数料額や審査会の日程も自治体ごとに確認したい。

登録できなかったときの扱い

審査で登録の基準を満たさないと判断されると、登録不可通知書が交付される。東京都教育委員会は「登録できなかった銃砲刀剣類は、原則として所持することはできません。」としたうえで、所轄警察署の生活安全課保安係に届け出て、登録不可通知書と現物を渡せば無料で廃棄処理をしてもらえると案内している。

すべてを手放さなければならないわけではない。同じページには「所持ができないのは刀身のみであるため、希望すれば拵え(鞘や柄)は、取り外して持ち帰ることができます。」と書かれている。遺品として何か残したい場合の選択肢になる。また、登録証がない状態でも国公立の博物館・美術館であれば所持・保管が可能とされており、寄付等の手続で引き取ってもらえる場合があるとも説明されている。

登録証が一緒に出てきた場合

刀と一緒に登録証(銃砲刀剣類登録証)が保管されていることがある。この場合はすでに登録済みなので、新たに発見の届出をするのではなく、名義の変更を届け出る流れになる。銃刀法17条1項は、登録を受けた銃砲または刀剣類を譲り受け、もしくは相続により取得した者は、文部科学省令で定める手続により、20日以内にその旨を当該登録の事務を行った都道府県の教育委員会に届け出なければならないと定めている。

届出先が「自分の住所地」ではなく「その登録の事務を行った都道府県」である点に注意したい。登録証に記載された都道府県が窓口になる。

登録も届出もしないままだとどうなるか

銃刀法31条の16第1項1号は、3条1項の規定に違反して銃砲等(拳銃等および猟銃を除く)または刀剣類を所持したときは、当該違反行為をした者を3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処すると定めている。知らずに持っていた、という状況を避けるためにも、見つけた時点で警察署に相談するのが結局は近道になる。

なお、拳銃や砲弾など刀剣類以外の物が出てきた場合も、23条の届出の対象は「銃砲等又は刀剣類」であり、同じく速やかに最寄りの警察署に届け出ることになる。特に砲弾や不発弾の可能性がある物は、動かさずにその場で警察へ連絡したい。

よくある質問

刀を警察署まで持って行っても大丈夫ですか?

運搬の方法を含めて、まず電話で所轄の警察署に連絡し、指示を受けてほしい。銃刀法24条1項は、銃砲等または刀剣類を携帯または運搬する者に、許可証・登録証等を常に携帯していなければならないと定めている。発見段階ではこれらがないため、自己判断で持ち歩かず、事前に相談したうえで指示に従うのが確実だ。

模造刀かどうか自分では判断できません。それでも届け出るべきですか?

判断がつかない状態で届け出て問題ない。刃が付いているか、鉄でできているかといった点は素人には見分けにくい。警察署では現物を確認したうえで扱いを案内してくれる。模造品であることがはっきりすれば、その旨の説明を受けられる。

遺品整理業者に刀の処理を任せられますか?

発見の届出は銃刀法23条が「発見し、又は拾得した者」に課している義務であり、登録の申請も所有者が行うものとされている。業者に運搬や同行を頼めるかは会社ごとに異なるため、依頼前に確認したい。いずれにせよ、届出と登録の手続そのものは警察署と教育委員会が窓口になる。

調べていて安心したのは、登録できなかった場合でも拵えは持ち帰れると明記されていたことだ。全部手放すか違法に持ち続けるかの二択ではない、と分かるだけで気持ちが落ち着く。

まとめ

遺品整理で刀が出てきたら、順番は決まっている。銃刀法23条に基づき見つかった地域を管轄する警察署へ発見の届出を行い、発見届出済証の交付を受ける。次に、住んでいる都道府県の教育委員会で登録審査を受け、基準を満たせば登録証が交付されて所持できるようになる。

登録できなかった場合は、登録不可通知書とともに所轄警察署へ引き渡して廃棄してもらえる。拵えは希望すれば持ち帰れる。登録証がすでにある刀を相続した場合は、20日以内にその登録の事務を行った都道府県の教育委員会へ届け出る。手数料や審査会の運用は都道府県で異なるので、動く前に自分の地域の窓口へ問い合わせておきたい。

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