出張買取が怖い理由と押し買い対策|法律で禁止されている行為

出張買取が怖い理由と押し買い対策|法律で禁止されている行為

出張買取を調べていると「押し買い」「やめとけ」といった言葉が並び、呼ぶ気が失せる。結論から書くと、怖さの中身は3つに分けられる。呼んでいないのに来ること、その場で断れなくなること、渡した品物が戻らないこと。このうち1つ目と2つ目は法律で明確に禁止されており、3つ目には引渡しを拒否する権利が用意されている。不安を抱えたまま業者を選ぶより、禁止されている行為を先に知っておくほうが早い。消費者庁の条文解説と通達から整理する。

怖いと感じる場面法律上の扱い条文
頼んでいないのに訪問・勧誘される禁止法58条の6第1項
断ったのに勧誘が続く禁止法58条の6第3項
威圧されて契約させられる禁止法58条の10第3項
嘘の説明で売らされる禁止法58条の10第1項
品物を持ち去られる引渡しを拒める法58条の15

いちばん強い武器は「呼んでいない勧誘の禁止」

訪問販売と訪問購入の最大の違いがここにある。法第58条の6第1項は「購入業者は、訪問購入に係る売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において、当該売買契約の締結について勧誘をし、又は勧誘を受ける意思の有無を確認してはならない。」と定めている。頼んでいない相手に売却を勧めること自体が違法である。

消費者庁はこの規定について「いわゆる飛込み勧誘や、単に相手方から査定の依頼があった場合に、査定を超えて勧誘を行うことは、法に抵触することになります。」と説明している。査定を頼んだだけの人に売却を持ちかけるのもここに含まれる。「査定に来ただけのはずなのに」という違和感は、法律的にも正しい

さらに、頼んだ品目以外への拡張も禁止されている。通達は「ある特定の物品について相手方から勧誘の要請を受けて訪問する場合であっても、その他の物品について勧誘をすること又は勧誘を受ける意思の有無を確認することは禁止される。」としている。消費者庁が公表している事例にも「事業者に着物の買い取りに来てもらったが、貴金属の買い取りも執拗に要求してきた。」がある。

行政が想定している「怖い場面」は具体的だ

通達には、威迫して困惑させる行為の具体例が載っている。抽象的な話ではない。

契約させるための例として、「売ってくれないと困る。」と声を荒らげられて早く帰ってもらいたくて契約してしまった場合や、「勧誘の際に殊更に入れ墨を見せられ、怖くなって話を切り上げられなくなってしまった。」という場合が挙げられている。解約を妨げる例としては、「クーリング・オフしたら現住所に住めなくする。」と言われて行使を思いとどまった場合が示されている。

嘘の説明についても例示がある。クーリング・オフを申し出た相手に「個人的な都合によるクーリング・オフは認められません。」「既に他の人に物品を転売してしまったので解除できない。」「もうネックレスは加工してしまっているので解除できない。」などと告げることは、いずれも不実告知に当たるとされている。勧誘の場面で「御近所はみんな売ってくれましたよ。」と告げることも同様である。

これらの言葉が出た時点で、相手は法律違反をしている。その場で言い返す必要はないが、あとから消費生活センターに伝える材料になる。

「許可を持っている」は安心の材料にならない

業者選びで見落とされやすいのがここだ。通達には「古物営業法の法目的は盗品の流通防止であり」という注記があり、古物営業法上の許可を得ている古物商であることをもって消費者保護の観点から適正な取引を行っている業者だとは言えない、と説明されている。許可番号の掲示は最低条件であって、安全の証明ではない

さらに通達は、公的機関から消費者保護の観点で認可を得ているかのように告げることを、それ自体が不実告知に当たる例として挙げている。「警察の認可を受けています」という言い回しが出てきたら、むしろ警戒したほうがよい。

渡さないという選択が最後の防波堤になる

契約してしまっても、品物を渡していなければ取り返しがつく。消費者庁は「売買契約の相手方は、クーリング・オフ期間内は債務不履行に陥ることなく、事業者に対して契約対象である物品の引渡しを拒むことができます。」と明記している。業者側にも「クーリング・オフ期間内に売買契約の相手方から直接物品の引渡しを受ける時は、相手方に対して当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げなければなりません。」という義務がある。

渡してしまうと状況は一変する。消費者庁が公表している事例には「もうすでに指輪は溶かしてしまったのでそもそも返せない。」と言われたケースがある。戻るかどうかは、渡したかどうかで決まる

当日の備え

  • 一人で対応しない。家族や知人に同席してもらう
  • 売る物だけを出し、それ以外は別の部屋にしまう
  • 社名と担当者名、許可番号を控える
  • 迷ったら契約せず、契約しても当日は渡さない
  • 不安が残ったら消費者ホットライン188に相談する

行政側の手当ても用意されている。違反した業者には業務改善の指示や業務停止命令、役員等の業務禁止命令といった処分があり、消費者庁は処分をしたときに公表するとしている。泣き寝入りする必要はない

よくある質問

頼んでいないのに買取業者が来るのは違法ですか?

勧誘の要請をしていない相手に対して、自宅などで売却の勧誘をしたり勧誘を受ける意思の有無を確認したりする行為は、特定商取引法第58条の6第1項で禁止されている。消費者庁は飛込み勧誘もこれに当たると説明している。訪問を受けても、玄関を開ける義務も話を聞く義務もない。

威圧されて売ってしまった場合はどうすればいいですか?

まず品物を渡していないなら渡さないこと。クーリング・オフ期間中は引渡しを拒める。渡してしまった場合でも、対象品目なら書面を受け取った日から8日以内は契約を解除できる。妨害があって期間を過ぎた場合は期間が延長される。消費者ホットライン188に相談してほしい。

古物商の許可がある業者なら安心ですか?

それだけでは判断できない。消費者庁の通達は、古物営業法の目的が盗品の流通防止にあることを指摘し、許可を得ている古物商であることをもって消費者保護の観点から適正な取引を行っている業者とは言えないとしている。許可番号の確認は必要だが、そこで安心せず、当日の対応を見て判断したい。

怖いと感じる場面が、そのまま法律の禁止行為リストに載っていた。知っているだけで、その場で固まらずに済む。

まとめ

出張買取の怖さは、呼んでいない勧誘、断れない空気、戻らない品物の3つに分けられる。前の2つは法律で禁止され、通達には具体的な言い回しまで例示されている。3つ目には引渡しを拒む権利がある。

自分から呼び、売る物だけを出し、迷ったら渡さない。この3つで、想定されている被害の型はほぼ避けられる。それでも不安が残るなら188に相談すればよい。

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