粗大ゴミの放置はどうなる?不法投棄の罰則を条文で確認した

粗大ゴミの放置はどうなる?不法投棄の罰則を条文で確認した

退去日までに収集が間に合わない。集積所に置いていけば誰かが処理してくれるのではないか。結論から書くと、申し込まずに粗大ゴミを置いていくことは不法投棄にあたり、廃棄物処理法の罰則の対象になる。同法25条1項は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科と定めており、法人の場合は3億円以下の罰金刑が用意されている。未遂も処罰される。この記事では実際の条文と、自治体が公表している運用を確認する。

自治体は「放置=不法投棄」と明言している

まず制度上の位置づけをはっきりさせておきたい。横浜市は「お申込みをしていない粗大ごみを放置することは不法投棄になります。必ずお申込みをしてから指定日に粗大ごみを出すよう、ご協力をお願いいたします。」としている。集積所という「ごみを出してよい場所」であっても、申込と手数料の手続きを踏んでいなければ投棄として扱われるということだ。

世田谷区はより具体的で、「布団やスーツケース、家電製品などを道路上や公園、空き地に捨てることや、粗大ごみ処理券を貼らずに集積所に出すことは不法投棄となり犯罪です。」と書いている。品目まで挙げているのは、実際にそうした事例があるからだろう。

条文を確認する

根拠は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)にある。第16条は投棄禁止として、何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならないと定める。ここでいう「廃棄物」には、同法2条1項の定義により粗大ごみが明示的に含まれている。

罰則は第25条だ。同条1項は、各号のいずれかに該当する者を五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定め、その第14号に「第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者」が置かれている。さらに同条2項により、この第14号の罪は未遂も罰せられる。法人については第32条1項1号が、第25条1項14号の違反行為について三億円以下の罰金刑を科すとしている。条文はe-Gov法令検索の廃棄物の処理及び清掃に関する法律で確認できる。

条文内容
第16条投棄禁止。みだりに廃棄物を捨ててはならない
第25条1項14号16条違反で廃棄物を捨てた者。5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科
第25条2項14号の罪は未遂も処罰される
第32条1項1号法人には3億円以下の罰金刑
第5条1項土地・建物の占有者は清潔を保つよう努めなければならない
⚠️ 「懲役」と書かれた解説は改正前の表記
現在の第25条1項の条文は「拘禁刑」と表記されている。刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたためで、名古屋市は「不法投棄は、法律により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。」と現行の表記で案内している。一方、世田谷区の不法投棄ページは「違反すると5年以下の懲役若しくは1,000万円(法人の場合は3億円)以下の罰金又はその両方に処せられる場合があります。(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条第1項14号、第32条第1項第1号)」と旧表記のままだ。刑の重さは変わらないが、根拠を確認するときは条文そのものを見たい。

見つからないだろう、という前提が崩れている

名古屋市は監視体制について、職員によるパトロールの強化や監視カメラによる常時監視を実施していると説明している。通報の窓口も整備されており、同市は不法投棄通報専用ファクスとしてフリーダイヤル0120-245318を用意し、「24時間受付」としている。分別アプリやLoGoフォームからの通報にも対応する。

世田谷区は住民に対して「このような行為を見かけた場合には警察へ110番通報してください(車を使っていた場合は車両ナンバー、車種などを控えておいてください)。」と呼びかけている。捨てる側から見れば、目撃されればナンバーまで記録されうるということだ。

私有地に捨てられた側にも負担が生じる

この問題のもう一方の当事者、つまり自分の土地に捨てられた場合の話も押さえておきたい。世田谷区は「私有地や私道などに不法投棄された場合、投棄した者を特定できない限り、私有地や私道の管理者・所有者の負担で投棄されたものの処分をすることになります。」としている。名古屋市も「所有地や管理地に不法投棄をされた場合、土地・建物の所有者または管理者のみなさまに処理責任が生じます。」と同じ立場だ。

ここで注意したいのが、動かせば解決するわけではないという点だ。名古屋市は「敷地内にある不法投棄物を公共の場(道路・公園など)へ動かす行為も不法投棄と同等の扱いです。」と明記している。捨てられた側が、動かしたことで捨てた側になる構図だ。

予防策としては、世田谷区が「不法投棄の被害にあわないようにするため、柵を設置する、警告看板を掲示するなど、日ごろから私有地・私道の管理を適切に行うようにしてください。」とし、警告看板の例をPDFで配布している。名古屋市も柵やフェンスの設置、定期的な除草や清掃を挙げている。この背景には、法5条1項が土地・建物の占有者に清潔保持の努力義務を課していることがある。

一度置かれた場所には次が集まる

放置が問題視されるのは、罰則の話だけではない。名古屋市は「道路上などで不法投棄がされてしまっている場合に、そのままにしておくと、新たな不法投棄を呼び込んでしまうことがあります。」としている。仙台市も収集日前の排出について「収集日前から粗大ごみを出すと、付近にごみが不法に捨てられる原因となりますので、ご注意ください。」と注意する。適正に申し込んだ品物でも、置く時間が長ければ同じ効果を生む。

そして間に合わないときの正解は、置いていくことではない。自己搬入で当日枠を確保する、リユースに回す、許可業者に依頼するという道が用意されている。手数料を払って正規に出すほうが、結果として安く済む。

よくある質問

粗大ゴミを放置するとどうなりますか?

不法投棄として扱われる。横浜市は申込をしていない粗大ごみを放置することは不法投棄になると明記しており、世田谷区は処理券を貼らずに集積所に出すことも不法投棄にあたるとしている。廃棄物処理法25条1項14号の罰則は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科で、同条2項により未遂も処罰される。法人の場合は32条1項1号により3億円以下の罰金刑となる。

粗大ゴミに張り紙がされていたら何を意味しますか?

張り紙には目的の違う2種類がある。ひとつは持ち去り対策で、名古屋市は「持ち去り禁止」の貼り紙の様式をPDFで配布し、市に出した旨の意思表示として使うよう案内している。もうひとつは不法投棄への警告看板で、世田谷区は私有地の管理者向けに警告看板の例を配布している。自分が出した粗大ごみに身に覚えのない張り紙がある場合は、収集されなかった理由が書かれている可能性があるため、粗大ごみ受付センターに確認したい。

私有地に捨てられた粗大ゴミは誰が処分するのですか?

投棄した者を特定できない限り、土地の所有者または管理者の負担になる。世田谷区も名古屋市も同じ説明をしている。注意したいのは、敷地内の不法投棄物を道路や公園などの公共の場へ動かす行為も、名古屋市は不法投棄と同等の扱いとしている点だ。処分方法が分からないときは、各区の環境事業所や清掃事務所に相談するよう案内されている。

条文を自分で読んで一番驚いたのは、未遂も罰せられると書いてあったことだ。置こうとした時点で対象になりうる、と理解しておきたい。

まとめ

粗大ゴミの放置は不法投棄で、廃棄物処理法16条違反として25条1項14号の罰則が適用される。5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科。未遂も処罰され、法人には3億円以下の罰金刑がある。集積所に置いた場合でも、申込と手数料の手続きがなければ同じ扱いだ。

捨てられた側の負担も重い。所有者を特定できなければ土地の管理者が処分費用を負い、公共の場へ移動させれば自分が不法投棄をしたことになる。日程が合わないときは、自己搬入・リユース・許可業者という3つの正規ルートを先に検討してほしい。

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