マットレスやタンスを一人で玄関の外まで出せない。エレベーターのない集合住宅で、階段を下ろせない。結論から書くと、多くの自治体が「持ち出し収集」という名前で、屋内から運び出す制度を用意している。横浜市は屋内に入って収集し、福岡市は屋内からの持ち出しに1個500円を加算する。ただし対象は高齢者や障害のある方などに限られ、誰でも使えるわけではない。この記事では6市区の制度と、対象外だった場合の選択肢を整理する。
| 市区 | 制度名 | 主な対象 | 料金 |
|---|---|---|---|
| 横浜市 | 粗大ごみ持ち出し収集 | 65歳以上、各種手帳、要介護(要支援)認定など | 通常の粗大ごみ収集手数料と同額 |
| 福岡市 | 粗大ごみ持ち出しサービス | 65歳以上、障がい者、妊婦など | 屋内から500円/個、玄関前まで出せば300円/個 |
| 仙台市 | 家からの運び出し | 65歳以上または障がい者のみの世帯 | 数量2点以内などの要件あり |
| 名古屋市 | なごやか収集 | 65歳以上、要介護・要支援、各種手帳 | 粗大ごみは通常の手数料 |
| 大阪市 | ふれあい収集 | 一人暮らしの65歳以上、高齢者のみの世帯、障がいのある方 | 職員が無料で家庭まで収集(家庭ごみ対象のサービスとして案内) |
| 東京都世田谷区 | 高齢者等訪問収集 | 65歳以上のひとり暮らし等で要介護2程度など | 清掃事務所へ要問い合わせ |
屋内まで入って収集する制度がある
横浜市の制度が最も明快だ。同市は「粗大ごみを指定場所まで持ち出すことができないひとり暮らしの高齢者や障害のある方などを対象に、自宅内に入って収集するごみ出しの支援です。」と説明する。対象は身体障害者手帳・愛の手帳・精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方、介護保険の要介護(要支援)認定を受けている方、「ごみを持ち出すことができない65歳以上の方」、そして「妊婦やけがをしている方などで、事務所長が認めた方」だ。
費用の考え方は自治体で分かれる。横浜市は「通常の粗大ごみ収集と同額の、粗大ごみ収集手数料がかかります。」で追加負担がない。対して福岡市は運び出す距離に応じて加算し、「屋内から持ち出して収集する場合は1個あたり500円 玄関前まで持ち出された場合は1個あたり300円」としている。玄関先まで自力で出せるなら200円安い、という設計だ。
対象になる世帯の条件は厳しめ
「重くて運べない」だけでは対象にならない。名古屋市のなごやか収集は「以下の1から5のいずれかに該当し、親族や近所の方の協力を得ることが困難で、お一人でごみや資源を持ち出すことができない方のみで構成された世帯が対象となります。」とし、続けて「(注)一人でごみや資源を持ち出すことができる方は、なごやか収集のご利用が出来ません。ご了承ください。」と明記する。世帯全員が該当することが条件で、同居する家族が運べるなら対象外だ。
仙台市も「市では、原則、家からの運び出しは行っていません。高齢者(65歳以上)または障がい者の方のみで構成される世帯で、指定した場所に出せない事情がある場合には、家からの運び出しを行います。数量が2点以内であることなど、一定の要件がありますので、詳しくは粗大ごみ受付センターへお問い合わせください。」と、点数の上限まで設けている。
横浜市は事前調査が入る場合がある。「対象者要件の確認や大型家具などで事前の下見が必要と判断した場合は、資源循環局事務所がご自宅を訪問し、事前調査をします。」という運用で、申し込んですぐ来てもらえるわけではない。
制度の対象でも運び出せない品物がある
横浜市は対象外を具体的に挙げていて、「工具等による分解や他の家具の移動を行わないと出入り口から持ち出すことができない粗大ごみ」と「ロープや重機を用いて窓等から排出しなければ持ち出すことができない粗大ごみ」を除いている。搬入時にクレーンで入れた大型家具は、この制度では出せない。
名古屋市も同様に、取り外しや解体等の工事を伴うもの、通常の出入り口からの排出が困難なもの、「作業員2名で屋内から安全に搬出することが困難なもの」、そして「引越し、退去等に伴い多量に発生したもの」を屋内収集の対象外とする。福岡市も条件を「(1)人力(3人)で持ち出せる重さのもの (2)玄関口から持ち出せる大きさのもの」としている。
名古屋市が「引越し、退去等に伴い多量に発生したもの」を屋内収集の対象外としているとおり、この制度は日常のごみ出し支援であって、引っ越しの荷下ろし代行ではない。仙台市も2点以内という上限を設けている。退去に伴って家具を一括処分したいなら、次に挙げる別の手段を検討することになる。
申込方法は電話が中心
ネット申込に対応していないことが多い。福岡市は持ち出しサービスについて「電話受付のみ。申し込む際に「持ち出しサービス」についても一緒に申し込んでください。」とし、「※インターネット、LINEでは申し込みができません。」と明記する。横浜市も「お住まいの区の資源循環局事務所にお電話等でご連絡ください。」で、受付センターではなく区の事務所が窓口になる。
立ち会いを求められる点も共通している。福岡市は「※持ち出す際には立ち会いが必要です。時間を決めて訪問しますので、ご協力をお願いします。」とし、横浜市も「収集の際は、原則対象者又は申込者に立ち会っていただきます。」としている。通常の粗大ごみ収集は立ち会い不要なので、ここは違う。名古屋市は屋内収集について「ただし、屋内収集は本人以外の方の立会いをお願いします。」と、本人以外の立ち会いを求める。
制度の対象外だった場合の選択肢
ひとつは買取だ。運べない家具でも、価値があれば出張買取の対象になりうる。横浜市はリユースの連携先として「不要になった品物を売却できるサービス。大型家具・家電は出張買取(外部サイト)も実施しています。」と案内している。運び出しも先方が行うため、体力の問題は解決する。
もうひとつは許可業者への依頼で、名古屋市は「許可業者によって「室内整理から」、「室内からの搬出から」、「ごみ置き場からの運搬のみ」と対応可能な条件が違います。」と、業者ごとに引き受ける範囲が異なることを示している。室内からの搬出を頼めるかどうかは、依頼前に確認すべき点だ。ただし国民生活センターは「もしも不用品の回収を市区町村以外に依頼する場合は、市区町村のホームページや窓口への問合せで一般廃棄物処理業の許可業者を探し、複数社から見積もりを取り、追加料金がかからないことなどを十分に確認したうえで依頼しましょう。」としている。
よくある質問
粗大ゴミを部屋まで取りに来てもらえますか?
対象要件を満たせば来てもらえる。横浜市の粗大ごみ持ち出し収集は自宅内に入って収集する制度で、65歳以上のひとり暮らしの方や各種手帳の交付を受けている方などが対象だ。名古屋市のなごやか収集、大阪市のふれあい収集、福岡市の持ち出しサービス、世田谷区の高齢者等訪問収集も同種の制度になる。ただし世帯全員が対象要件に該当することを求める自治体が多い。
粗大ゴミの持ち出し収集は無料ですか?
自治体によって異なる。横浜市は通常の粗大ごみ収集手数料と同額で、運び出しに対する追加料金はない。福岡市は屋内から持ち出す場合に1個500円、玄関前まで出しておけば1個300円がかかる。大阪市のふれあい収集は、ごみの持ち出しが困難な方を対象に環境局の職員が無料で家庭まで収集に伺うサービスとして案内されている。なお、いずれの自治体でも粗大ごみそのものの処理手数料は別に必要になる。
引っ越しで大量に出る家具も運び出してもらえますか?
対象外になる可能性が高い。名古屋市は「引越し、退去等に伴い多量に発生したもの」を屋内収集の対象外としており、仙台市は数量2点以内という要件を挙げている。この制度は日常的なごみ出しの支援を目的としているためだ。引っ越しに伴う一括処分は、一時多量ごみの扱いか、一般廃棄物処理業の許可を受けた業者への依頼を検討することになる。

まとめ
粗大ゴミを自分で運べないとき、多くの自治体が屋内から運び出す制度を用意している。横浜市は追加料金なし、福岡市は屋内から1個500円という具合に費用の設計は分かれるが、対象は65歳以上の方や障害のある方などに絞られ、世帯全員が該当することを求める自治体が多い。
制度の対象外なら、出張買取か、一般廃棄物処理業の許可を受けた業者への依頼になる。業者ごとに「室内整理から」「搬出から」「運搬のみ」と引き受ける範囲が違うので、部屋から出すところまで頼めるかを最初に確認したい。複数社から見積もりを取ることは、国民生活センターも勧めている。








