物置から期限切れの消火器が出てきた。粗大ごみに申し込もうとして、品目一覧に載っていないことに気づく。結論から書くと、消火器は自治体が回収していない。処分は消火器工業会のリサイクルシステムを使い、費用は「リサイクルシール代+運搬・保管費」で決まる。自分で指定引取場所へ持ち込めば小型用シール1枚600円だけで済み、自宅まで取りに来てもらうゆうパック回収なら6,270円(税込)だ。この差が何で生まれるのかを整理した。
| 方法 | 費用 | 運ぶ人 |
|---|---|---|
| 指定引取場所へ自分で持ち込む | 小型用リサイクルシール1枚600円(+送料・代引手数料) | 自分 |
| 特定窓口へ持ち込む | シール代+保管費等(窓口ごと) | 自分 |
| 特定窓口に引き取りに来てもらう | シール代+収集運搬費等(窓口ごと) | 業者 |
| 引き取り回収ゆうパック | 6,270円(税込) | 郵便局 |
消火器は粗大ごみに出せない
まず前提から。横浜市は市では収集できないごみの一覧に消火器を挙げ、「横浜市では収集を行っていません。(社)日本消火器工業会が地域の販売代理店等と協力して行っています。」と案内している。習志野市も相談先として株式会社消火器リサイクル推進センターの電話番号を載せている。
なぜこうなっているのか。同センターは、廃棄される消火器を自治体が処理困難物として回収しないことが多く、不法投棄や放置による破裂事故につながっていたため、前払式証票である「消火器リサイクルシール」で処理費用を徴収する仕組みにしたと説明している。2010年1月以降に国内で販売された消火器には、あらかじめ処理費用を徴収する新品用リサイクルシールが貼られている。
費用の正体は「シール代」と「運搬・保管費」
処分費が読みにくいのは、費用が二階建てになっているからだ。
一階部分がリサイクルシール代。2009年以前に製造された消火器にはシールが貼られていないので、既販品用リサイクルシールを買って貼る必要がある。消火器リサイクル推進センターの説明によれば、「リサイクルシールが貼られていない廃消火器を引き取ることはできません」とされている。逆に、すでにシールが貼られている消火器なら買い足す必要はない。
シールの価格は原則オープン価格で、窓口ごとに違う。ただし家庭向けには同センターが直接販売しており、「小型用リサイクルシールは1枚 600円です。」と公表されている。1回の注文は5枚までで、別途送料と代引手数料がかかる。同センターは「シールを貼付した消火器を指定引取場所に持ち込んでいただければ追加費用は掛かりません。」としている。
二階部分が運搬・保管費だ。同センターのよくある質問では、リサイクルシールは指定引取場所へ持ち込まれたあとの運搬・処理費用を賄うもので、引き取りに伺う場合や特定窓口へ持ち込む場合は別途、収集運搬・保管費用が必要と説明されている。つまり「指定引取場所」に自分で持ち込むと二階部分が消える。
特定窓口と指定引取場所は別物
この2つの言葉が紛らわしいので整理しておく。同センターの処分の手順によれば、特定窓口は主に消火器の販売代理店や防災・防犯事業者が担っており全国に約5,000ヵ所、指定引取場所は消火器メーカー営業所や廃棄物処理業者が担っており全国に約200ヵ所ある。
数が多く身近なのは特定窓口だが、追加費用が発生する。数は少ないが追加費用がないのが指定引取場所だ。同センターの窓口検索で両方を地図から探せるので、まず近くに指定引取場所があるかを見て、なければ特定窓口に問い合わせるという順番になる。なお、引き取りに伺える窓口と持ち込みのみの窓口があるため、直接確認が必要だ。
自宅まで来てほしいならゆうパック回収
車がない、重くて運べないという場合は郵便局を使う方法がある。日本郵便は「日本郵政グループは、平成18年10月2日より全国の郵便局において、ご家庭に設置されていた廃消火器の「ゆうパック」による回収を行っております。」としている。
費用は運営元の家庭用廃消火器 回収・リサイクルのページに明示されており、2020年1月6日から新価格 6,270円(税込)に改定されたと書かれている。回収箱が届き、それに詰めて集荷してもらう流れだ。ただし制限があり、「薬剤量3kgを超える消火器、据置式消火器は引き取り回収ゆうパックがご利用いただけません。」とされている。薬剤量は消火器本体の表示で確認する。
6,270円は決して安くないが、自分で運べない消火器を放置するリスクと比べる話になる。同ページには、持ち込みの場合は費用がかからないことも併記されている。
古い消火器は絶対に自分で薬剤を出さない
消火器リサイクル推進センターは、本体の腐食が進んだもの、凹みや変形したもの、ホースが脱落したものなど老朽化した消火器について「このような消火器の「消火薬剤の放射」「解体」は、絶対に行わないでください。」としている。
同センターのよくある質問でも、消火器は中身を出さずそのままの状態で回収できるとしたうえで、「自治体によっては『空の消火器は引き取ります』とありますが、無理な放出は危険ですので避けて下さい。」と注意している。加圧式消火器は経年劣化による破裂の恐れがあるとも説明されている。
耐用年数の目安も示されている。同センターは業務用消火器の耐用年数を10年、住宅用消火器を5年としており、傷んだ消火器や耐用年数が過ぎた消火器は直ちにリサイクル処分するよう求めている。
スプレー式の簡易消火具は対象外
見落としやすい落とし穴がある。エアゾール(スプレー)式の簡易消火具は、このリサイクルシステムでは回収されない。同センターは、廃棄物処理法の広域認定の対象品目に該当しないため回収できないとし、内部の薬剤と圧力を抜いて他のスプレー缶と同様に自治体の廃棄方法に従うよう案内している。薬剤の抜き方が分からない場合の相談先として、日本消防検定協会の消費者相談(0422-44-8451)が示されている。
横浜市も、破裂事故が発生しているエアゾール式簡易消火具については、該当製品はスプレー缶として出さず製造業者に問い合わせるよう求めている。
よくある質問
消火器の処分費は最低いくらかかりますか?
消火器リサイクル推進センターから小型用リサイクルシールを買い(1枚600円、別途送料と代引手数料)、指定引取場所へ自分で持ち込む方法が最も安い。同センターは、シールを貼った消火器を指定引取場所に持ち込めば追加費用はかからないとしている。すでにリサイクルシールが貼られている消火器なら、シール代も不要だ。
リサイクルシールはどの消火器にも必要ですか?
2010年1月以降に国内で販売された消火器には新品用リサイクルシールが貼付されている。必要になるのは2009年以前に製造された消火器で、この場合は既販品用リサイクルシールを購入して貼る。ただし既販品用シールには有効期限があり、2024年以降に発行されたものは3年(シール発行年+4年目の3月末)とされている。
ホームセンターに持っていけば引き取ってもらえますか?
特定窓口として公開されていれば引き取ってもらえる、というのが同センターの回答だ。窓口でなくても、新しい消火器を購入した場合に古い消火器を下取りしてもらえる場合があるとも案内されている。行く前に、その店が窓口になっているかを検索するか電話で確認したほうが確実だ。

まとめ
消火器は自治体では回収されない。費用はリサイクルシール代と運搬・保管費の合計で、指定引取場所へ自分で持ち込めば小型用シール600円だけで済む。特定窓口は数が多いが、収集運搬費や保管費が別に必要になる。自宅回収のゆうパックは6,270円(税込)で、薬剤量3kg超と据置式は対象外だ。
やってはいけないのは、自分で薬剤を放射したり分解したりすること。腐食した消火器は破裂の危険がある。まずは本体の製造年とリサイクルシールの有無を確認するところから始めたい。








