借りたスーツケースが空港で壊れて戻ってきたら、修理代を請求されるのか。各社の規定を読むと、通常の使用で生じた破損は無償という点が共通していました。例外はJALエービーシーで、ここだけは500円の補償に加入していないとへこみや亀裂が有料になります。差が出るのはほかに紛失・盗難、内部の汚れ、故意や重過失の扱いです。実際の条文で確認していきます。
各社の補償の比較
| サービス | 通常使用の破損 | 過失がある場合 | 紛失・盗難 |
|---|---|---|---|
| アールワイレンタル | 無償(損害保険加入済み) | 内部の汚れは対象外 | 商品代金を請求 |
| レンティオ | 無償 | 破損1件あたり2,000円を上限 | 販売金額の100%を上限 |
| ククレンタル | 無償(保証金不要) | 故意・重過失は貸出時の価値で弁償 全損5,000〜15,000円・鍵交換1,600円 |
弁償の対象(約款第7条) |
| エース直営レンタル | 無償保証 | 故意・不適切な使用は対象外 | 盗難・火災は証明書で免責 書類が無い場合は市場購入価格 |
| JALエービーシー | 自然の擦り傷は無料 | 安心補償500円/個の加入が前提 | 補償対象外 |
表の出典:JAL ABC/アールワイレンタル/レンティオ/ククレンタル(レンタル約款 第7条)/エース直営レンタル(2026年8月時点。JALエービーシーの休止告知は2025年9月26日付)
通常使用の破損は無償が基本
アールワイレンタルは「弊社レンタルスーツケース・旅行用品は、全て損害保険加入済み商品となります。ご使用中の破損やキズ、汚れ等は、無償になっておりますので、 安心してご利用ください。」としています。ククレンタルも「ククレンタルでは、レンタルスーツケースが破損・汚損・紛失した場合でも、お客様に過失がなければ、 修理代・弁償金はかかりません。」とし、保証金も求めないとしています。ここで効いてくるのが「過失がなければ」という条件で、同社の約款では故意・重過失や紛失・盗難の場合、貸出時点の価値に相当する金額での弁償と定められています。実額は「全損の場合は、5,000円〜15,000円(貸出回数により変わります。)」、「鍵交換だけの場合、1,600円(消費税別)」と案内されています。
レンティオは金額で線を引いています。「スーツケースのレンタル期間中はお客様に過失のない故障には修理費など一切請求いたしません。過失により破損された場合も免責費は2,000円まで。それ以上のご負担はありません。」という条件です。ただしキャッチ文ではなく規定のほうを読むと「落下など、お客様の過失による破損の場合は賠償費用として、都度2,000円を上限とした金額を申し受けます。」とあり、1件あたりの上限です。2本借りて2本とも壊した場合は、それぞれに2,000円がかかります。
破損証明書が要るかどうかが分かれる
航空会社に預けて壊れた場合、破損証明書(Damage Report)の扱いが社ごとに違います。アールワイレンタルは、到着地で異常があればラゲージ・クレームカウンターで破損証明書を受け取り、返却時にケース内に入れるよう案内しています。そのうえで「破損証明書の取得が行えない場合でも、無償修理の対応となりますので、ご安心下さい。」としています。
ククレンタルはさらに踏み込んで、「当店では、お客様の利便性を考慮して、 破損証明書(Damage Report)の提出も不要 とさせていただいております。」としています。レンティオは逆に、証明書があると負担が消える仕組みです。「航空会社・空港側起因の破損については、空港からの破損証明書をご提示いただければ、賠償費用(2,000円)は請求いたしません。」としています。
ククレンタルは、破損証明書は税関を通る前の手荷物サービスカウンターで発行してもらえるとし、税関を通ってしまうと発行はほぼ不可能になると説明しています。荷物を受け取ったら、その場でキャスター・取っ手・本体の亀裂を確認しておきたいところです。
紛失と盗難は別枠
ここが最も重い項目です。アールワイレンタルは「スーツケースを紛失・盗難などでご返却頂けない場合、商品代金をご請求させていただきますので、予めご了承ください。」としています。レンティオも「紛失・ロストバゲージに遭ってしまった場合、レンタル料金とは別に、製品の販売金額の100%を上限とする支払いが必要になります。」としています。
ただし証明書があれば救済される社もあります。エース直営レンタルは、盗難・火災事故にあった場合について「盗難証明書、被災証明書をご用意いただければ、 お客様の責任を問いません。ご利用代金のみの請求となります。」としつつ、「証明できる書類の無い場合は、商品の修理費用または市場購入価格をご請求いたします。」としています。この免責が効くのは盗難・火災事故の場合です。置き忘れなど自分で失くしたときは証明書を取りようがないため、市場購入価格の請求という重いほうに落ちます。海外で盗難に遭ったら、まず現地の警察で証明書を取る、という順番になります。
任意加入の補償がある社
JALエービーシーは補償をオプションにしています。「レンタル期間中の破損等に対応した安心補償サービスが、1個につき500円でお申し込みいただけます。」とし、加入すれば「破損等があっても、お客様に一切ご負担はございません」としています。ただし「盗難・紛失については補償対象外となります。」とあり、未加入の場合は「角のへこみ、陥没、亀裂等は、安心補償にご加入でない場合、修理代金はお客様負担の有料となります。」とされています。料金は「500円/個(30日間まで一律)」で、加入していても「ご自身で修理手配をされた場合は対象外となります。」とあります。壊れたら自分で直さず、まず同社に連絡するのが前提です。なお同社のスーツケースレンタルは、在庫入れ替えのため2025年9月26日から申し込みを一時休止しています。
よくある質問
空港で壊されたら誰が請求するのですか?
アールワイレンタルは、破損証明書を返却時にケース内に入れれば同社から航空会社に直接請求するとしています。利用者が航空会社とやり取りする必要はありません。
中身が汚れたら弁償になりますか?
アールワイレンタルは内部の汚れを損害補償の対象外とし、不注意で汚した場合はクリーニング代を請求するとしています。液体や割れ物は袋に入れて分けておきたいところです。
海外旅行保険で賄えますか?
紛失・盗難については、賄えることがあります。レンティオは「海外旅行中の盗難・紛失の場合は、クレジットカードの付帯保険をはじめとした海外旅行傷害保険でその負担金の大部分を清算可能ですのでご安心ください。保険金申請に必要な書面の用意もします」としています。JALエービーシーも、加入している旅行損害保険での精算を対応のひとつに挙げています。一方でククレンタルは「当社では修理費用無料(お客様事由を除く)となっておりますので、お客様側での物品破損保険等の加入は不要です。」という立場です。
まとめ
レンタルスーツケースの破損は、通常使用の範囲なら各社とも無償です。分かれるのは破損証明書が要るかどうかと、紛失・盗難の扱い。海外に行くなら、盗難に遭ったときに証明書を取れるかまで想定しておきたいところです。











