ポストに「不用品を無料で回収します」というチラシが入っている。処分にお金がかかると思っていたものを引き取ってくれるなら助かる、と一瞬思う。結論から書くと、このチラシに反応する前に、その業者が市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているかを確かめる必要がある。無料と書きながら作業後に料金を請求する例が、自治体にも国の機関にも相談として蓄積されている。
| 手口の型 | 見え方 |
|---|---|
| トラック型 | 軽トラック等で街宣しながら回収する |
| チラシ型 | 無料で回収するというチラシを家庭に配る |
| 空き地型 | 空き地に引き取りますという看板を立てる |
| Web宣伝型 | ホームページで無料引き取りをうたう |
※4つの分類は横浜市「『無許可』の廃棄物回収業者に注意!」による。
無料回収のチラシで実際に起きていること
横浜市は注意喚起ページの冒頭で、「『ご家庭の廃棄物を無料で処分します』という宣伝を聞いたり、チラシ広告を見て処分を依頼したら、高額な料金を請求された」という内容の苦情や相談が寄せられています。と書いている。続けて具体的なトラブル例を3つ挙げている。
・「軽トラックで市内を街宣しながら巡回している事業者にごみ処理を依頼した。回収は無料だったが高額な処分料などを請求された。」
・「ポストに入っていた無料回収のチラシを添付してごみ処理を依頼した。軽トラックに積込んだ後で作業料などを徴収された。」
・「一度、無料回収をお願いした後、何度も廃棄物がないか訪問されて困った。」
共通するのは、無料なのは「回収」だけで、処分料や作業料は別に請求されるという構造だ。積み込みが終わってから金額が出てくるため、断りにくい状況が先に完成している。
なぜ無料でも依頼してはいけないのか
お金を払わないなら損はないのでは、という疑問には行政が答えている。横浜市は「許可なく廃棄物を収集運搬する行為は法律違反です。」としたうえで、「また、無許可の回収業者が回収した製品は、適正にリサイクルされているかどうか確認することができません。例えば家電製品は、フロンや鉛、砒素といった有害物質を含んでいるため、適切なリサイクルが必要であることから、処理の方法が特別に定められています。」と説明している。
国民生活センターも「また無許可業者については、一般廃棄物の処理が適正に行われているのか市区町村で確認ができず、回収された不用品が不法投棄される恐れなどもあります。」と指摘している。渡した先で何が起きるか追えないという点が問題になっている。
チラシで見分けるポイント
チラシそのものにも判定材料がある。横浜市は「横浜市は一般廃棄物収集運搬業許可業者に対して、ご家庭へ配布するチラシには『事業者名』の他に『4桁の許可番号』を記載するよう依頼しています。」としている。事業者名も許可番号もなく、携帯電話の番号だけが書かれているチラシは、この運用から外れていることになる。
巡回車についても判断材料がある。同市は「なお、許可を受けた事業者は、軽トラック等で街宣しながら廃棄物を回収することはありません。」と断言している。スピーカーで呼びかけながら走る車は、それだけで対象外だ。
なお、許可番号の記載ルールは自治体ごとに異なる。桁数や運用は住んでいる市区町村のページで確認してほしい。
環境省もチラシを作って呼びかけている
この問題は自治体だけの話ではない。環境省は情報発信ツールとして「廃家電や粗大ごみなど、廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」というちらしやポスター、新聞広告を作成し、公開している。同ページでは「廃棄物として家電を捨てるときは、廃棄物処理法の許可を得ていない(※)回収業者に絶対に渡さないでください。」という呼びかけも出している。
環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭の廃棄物を回収できないと明記している。古物商の許可は中古品等の売買を行うための許可であり、廃棄物の収集運搬を認めるものではない。チラシに許可番号があっても、それが何の許可なのかを見る必要がある。
正しい出し方に戻す
チラシを断ったあとの選択肢は3つある。市区町村の粗大ごみ収集に申し込む、市の処理施設に自分で持ち込む、一般廃棄物収集運搬業の許可業者に依頼する。環境省は「●廃家電や粗大ごみなどの廃棄物は、お住まいの市区町村が案内するルールで処分してください。」としている。
まだ使える物なら、捨てずに売るという道もある。環境省は「まだ新しく十分使える家電製品は、信用できるリユース(中古)ショップに買い取ってもらいましょう。」と案内している。
よくある質問
無料回収のチラシに書かれた番号に電話しても大丈夫ですか?
電話する前に、事業者名を自分の市区町村の一般廃棄物収集運搬業許可業者一覧で確認したい。横浜市は、家庭に配るチラシには事業者名と許可番号を記載するよう許可業者に依頼していると説明している。名前も番号もないチラシは、この運用から外れている。
回収してもらったあとに料金を請求されたらどうすればよいですか?
国民生活センターは、作業中や作業終了後に事前に聞いていない高額な料金を請求された場合は、後日納得した金額で支払う意思があることを示しつつ、その場での支払いを断るようアドバイスしている。支払いを迫る態度に身の危険を感じるときは警察に連絡するのも一法だとしている。相談窓口は消費者ホットライン188。
無料回収に出した家電はどこへ行くのですか?
追跡できないというのが行政側の指摘だ。国民生活センターは、無許可業者については一般廃棄物の処理が適正に行われているのか市区町村で確認ができず、回収された不用品が不法投棄される恐れがあるとしている。横浜市も、適正にリサイクルされているかどうか確認できないと説明している。

まとめ
無料回収のチラシが怪しく見えるのは気のせいではない。横浜市は無許可回収の手口をトラック型・チラシ型・空き地型・Web宣伝型の4つに整理し、無料をうたいながら作業後に料金を請求された相談例を公開している。環境省も、無許可の回収業者に渡さないよう全国向けのちらしとポスターを出している。
チラシが入ったら、まず事業者名を市区町村の許可業者一覧で照合したい。名簿になければ、その1点で判断がつく。










