退去日に慌てないコツは、荷物がある時期にできることと、荷物を出したあとにしかできないことを分けて考えることです。着手の目安は2週間前。
換気扇や水回りは「つけ置き」の時間が必要なので、当日にまとめてやろうとすると確実に破綻します。この記事では、退去日から逆算したスケジュールを順番に並べていきます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2週間前 | 契約書の確認、換気扇・レンジ回りのつけ置き |
| 1週間前 | 水回り(浴室・トイレ・洗面) |
| 前日〜当日 | 床の掃き・拭き、ゴミ出し、写真撮影 |
最初にやるのは掃除ではなく契約書の確認
どこまで掃除すべきかは、契約内容によって変わります。クリーニング特約があるかどうかを先に見ておいてください。
国土交通省のガイドラインは、原状回復について「賃貸人・賃借人の修繕負担、賃借人の負担範囲、原状回復工事施工目安単価などを明 記している原状回復条件を契約書に添付し、賃貸人と賃借人の双方が原状回復条件についてあらか じめ合意しておくことが重要である。」としています。
特約がなければ、求められるのは「通常の清掃」です。ガイドラインの別表2では、その中身としてゴミ撤去・掃き掃除・拭き掃除・水回り清掃・換気扇やレンジ回りの油汚れの除去が列挙されています。
2週間前:油汚れに着手する
換気扇とレンジ回りを先に始める理由は、つけ置きに時間がかかるからです。
しかもこの部分は、放置していると借主負担になりやすいところです。ガイドラインの別表では、賃借人負担の例としてガスコンロ置き場・換気扇等の油汚れ、すすが挙げられ、使用期間中の清掃・手入れを怠った結果とされています。
五徳や換気扇のファンは、洗剤に浸けて時間で落とすのが基本です。1日で終わらせようとせず、数日に分けて部品ごとに進めるほうが確実に楽でした。
1週間前:水回りを片づける
浴室・トイレ・洗面台は、まだ生活している段階でも掃除できます。ただし使いながらでは仕上がりが戻ってしまうので、荷物を減らしてから取りかかるのがおすすめです。
浴室のカビは時間との勝負になります。塩素系のカビ取り剤は、規定の放置時間を守ってはじめて効果が出るものです。「こする」より「置く」と覚えておいてください。
なお、サッシまわりには使ってはいけない洗剤があります。三協アルミはアルミ・ステンレス製商品について「ベンジン、シンナー、アルコールなどの有機溶剤、便器やタイル用の酸性洗浄剤やアルカリ性洗浄剤は、表面を侵し腐食の原因となりますので、使用しないでください」としています。掃除で新たな損傷を作らないことも大事です。
荷物を出したあとにしかできないこと
家具の下、収納の中、壁ぎわ。このあたりは、荷物がなくなってはじめて手が入ります。
ただし、家具の跡そのものは直さなくて大丈夫です。ガイドラインは賃貸人負担の例として「家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡」を挙げています。
同様に「壁に貼ったポスターや絵画の跡」、テレビ・冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)も貸主負担とされています。
やるのは掃き掃除と拭き掃除まで。跡を消そうとして壁紙をこすると、かえって傷めます。
ガイドラインは「具体的な損耗の箇所や程度といった物件の状況を平面図に記入したり、写真を撮るなどのビジュアルな手段を併せて活用することも重要である。」とし、「なお、こうしたチェックリストなどは、後日トラブルとなり、訴訟等に発展した場合でも証拠資 料になりうるため、迅速な解決のためにも有効であると考えられる。」としています。
掃除が終わった状態を、部屋ごと・設備ごとに撮影しておきましょう。日付が残る形が望ましいです。
業者を頼む場合のタイミング
自分でやりきれないなら、退去前にクリーニングを入れるという手もあります。ただし特約がある場合は二重払いになりかねないので、やはり契約書の確認が先です。
頼むなら、空室の状態のほうが有利です。くらしのマーケットの相場では、1R・1Kで在室「在室・入居中 / 1R・1K ¥15,000〜¥35,000」に対し、空室は「空室 / 1R・1K ¥14,000〜¥25,000」となっています。
予約の時期も考えておきたいところです。同サイトは「年末の大掃除の時期は予約が取りにくくなりますので、早めの予約をおすすめします。」としています。引っ越しシーズンの3月も同じように混み合うと考えておいたほうが安全です。

優先順位をつけるなら、①ゴミの撤去 ②換気扇・レンジ回り ③水回り ④床の順です。
ゴミが残っていれば、それだけで「通常の清掃を実施していない」と見られます。自治体の回収日は限られているので、最初に確認して逆算するのが確実です。
自分は引っ越し4回のうち一度、この回収日を調べるのを後回しにして、退去前日に袋を抱えたまま焦ったことがあります。掃除より先に決まってしまう予定なので、ここだけは最初に押さえておいてください。
次が換気扇とレンジ回り。ここは賃借人負担の例としてはっきり書かれている部分です。時間がなくても、フィルターと五徳だけは外して洗っておきましょう。
床は最後で構いません。掃き掃除と拭き掃除で足ります。ガイドラインは「フローリングのワックスがけ」を貸主負担としているので、ワックスをかける必要もありません。
それでも間に合わないなら、業者に部分依頼するのもひとつです。相場はキッチン10,000〜16,000円、浴室11,000〜16,000円(くらしのマーケット)。請求されそうな清掃費と比べて安く済むかどうかを、判断材料にしてください。
よくある質問
引っ越し前の掃除はいつから始めるべきですか?
2週間前が目安です。理由は換気扇やレンジ回りの油汚れがつけ置きに時間がかかるためです。国交省ガイドラインの別表では、賃借人負担の例としてガスコンロ置き場・換気扇等の油汚れ、すすが挙げられ、使用期間中の清掃・手入れを怠った結果とされています。1週間前に水回り、前日〜当日に床とゴミ出しという順序が現実的です。
家具の跡や壁の汚れは直すべきですか?
直す必要はありません。ガイドラインは賃貸人(大家)負担の例として「家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡」「壁に貼ったポスターや絵画の跡」を挙げています。テレビ・冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ(電気ヤケ)も同様です。跡を消そうとして壁紙をこするほうが、かえって傷めます。
時間がない場合、何を優先すべきですか?
①ゴミの撤去 ②換気扇・レンジ回り ③水回り ④床の順です。ゴミが残っていると「通常の清掃を実施していない」と見られやすく、自治体の回収日も限られるため最初に確認してください。換気扇とレンジ回りは借主負担として明示されている部分なので優先度が高くなります。床は掃き掃除と拭き掃除で足り、ワックスがけは貸主負担のため不要です。
まとめ
- 着手は2週間前が目安。まず契約書の特約を確認
- 最初に換気扇・レンジ回り——つけ置きに時間がかかる
- 1週間前に水回り、直前に床とゴミ出し
- 家具の跡・ポスターの跡・電気ヤケは直さなくていい
- ワックスがけは不要(貸主負担)
- サッシに酸性・アルカリ性洗浄剤を使わない(腐食の原因)
- 掃除後の写真を残す——証拠資料になる
- 業者に頼むなら空室のほうが安い。3月と年末は混む
- 時間がないならゴミ→換気扇→水回り→床の順











