取引先の葬儀に出るために喪服を借りた。この費用は経費で落とせるのか。あるいは身内の葬儀で借りた場合、相続税の計算で差し引けるのか。制度の記載を確認したところ、国税庁が「葬式費用となるもの」として挙げている項目に喪服代は含まれていません。事業の必要経費として扱えるかも個別判断になりますので、最終的には税務署か税理士に確認する話になります。
| 場面 | 確認すべき制度 |
|---|---|
| 身内の葬儀で借りた | 相続税の葬式費用として差し引けるか |
| 取引先の葬儀に出るため借りた | 事業の必要経費に当たるか |
| 会社が従業員のために手配した | 法人としての費用処理をどうするか |
相続税の葬式費用に喪服は入るか
国税庁の一覧に喪服代は出てこない
遺産から差し引ける「葬式費用」の一覧に、喪服代もそのレンタル代も登場しません。国税庁のタックスアンサーNo.4129は、差し引ける費用として、火葬や埋葬・納骨にかかった費用、遺体や遺骨の回送にかかった費用、葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用、読経料などのお礼をした費用、死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用の五つを挙げています。
反対に含まれないものとして、同じページには「(1) 香典返しのためにかかった費用」「(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用」「(3) 初七日など法事のためにかかった費用」が示されています。喪服は、含まれる側にも含まれない側にも書かれていないということです。
断定せず、税務署か税理士に確認
含まれるとも含まれないとも明記がない以上、判断は個別の事情に委ねられます。
「喪服代は葬式費用に含まれる」と書いている解説を見かけることがありますが、国税庁の列挙にその記述はありません。申告に関わる判断ですので、税務署の電話相談か税理士に確認するのが安全です。国税庁も相談窓口の案内を出しています。
事業の経費になるかも個別判断
喪服を名指しした基準は見当たらない
個人事業主の必要経費についても、国税庁が喪服を名指しで示した基準は確認できませんでした。一般には、業務のためだけに使うことが明確で、私的な使用と切り分けられるかどうかが問われる領域になります。
レンタルは用途と明細を示しやすい
説明のつけやすさという点では、レンタルは購入より分があります。購入した礼服は手元に残り続けるので私的利用との線引きが難しいのに対し、レンタルは利用日と用途が限定され、明細も一件ごとに残るためです。ただしこれは説明のしやすさの話であって、経費になると保証するものではありません。

実務の準備:領収書・支払い・金額
領収書の扱いは社でかなり違う
費用処理を考えるなら、領収書が出るかを注文前に確認しておくのが実務の第一歩です。たとえば喪服レスキューは、FAQで個別の領収書発行は原則受け付けないとし、クレジットカードの利用明細やPayPayの取引履歴を代用とするよう案内しています(支払いはカードとPayPayのみ・現金不可)。RENCAはクレジットカードのほか代金引換と後払い決済に対応していて、総合FAQによれば後払いは手数料200円(税込)です。宛名付きの領収書が要る場合は、注文前に各社へ問い合わせてください。
1. 支払いの名義とカードを事業用に揃えられるか
2. 領収書(または代用の明細)が要件を満たすか
3. 届け先を会社や斎場にする場合の指定方法
相場は小物込み6,000円台〜1万円前後
金額そのものは、小物込みのフルセットで6,000円台から1万円前後(税込)が相場です。喪服だけのシンプルなセットなら5,000円前後からの社もあります。購入した場合は男性で2万円弱、女性は1万5,000円台からという水準ですので桁が違うわけではありませんが、一回あたりの支出としては抑えられます。年に何度も弔事があってそのつど借りている場合は合計額が無視できなくなるので、そのときこそ購入との比較と費用処理の可否を一度整理しておく価値があります。
フルセットに含まれる小物の例(バッグ・袱紗・数珠・ネックレス)。出典:喪服レンタル本舗
支払い方法の選び方と、レンタルと購入の損益分岐は、それぞれ次の記事で詳しく整理しています。
よくある質問
喪服のクリーニング代は葬式費用に入りますか?
国税庁が挙げる葬式費用の一覧に、喪服のクリーニング代は登場しません。判断が必要な場合は税務署か税理士に確認してください。なおレンタルの場合、この記事で扱った主要各社はクリーニング不要としているので、この費用自体が発生しません。
会社の経費で従業員の喪服を借りられますか?
費用処理の可否は会社の規程と実態によりますので、経理担当か顧問税理士に確認することになります。手配そのものは可能で、Cariru BLACK FORMALのFAQには「ご自宅以外への配送手配も承ります。」とあるように、届け先を自宅以外に指定できる社が多くあります。
領収書の宛名を会社名にできますか?
社の運用によります。個別の領収書を原則発行せず決済明細を代用とする社(喪服レスキュー)もあるので、宛名付きが必須なら注文前に問い合わせて、対応できる社を選んでください。
まとめ
喪服レンタル代の取り扱いは、制度の条文に答えが書いてあるわけではありません。国税庁が示す葬式費用の一覧に喪服代は含まれておらず、事業の必要経費に当たるかも個別判断です。この記事で確認できるのは制度の記載までですので、実際の申告に関わる部分は税務署の相談窓口か税理士に確認してください。











