エアコンをつけたら虫が出てきた、吹き出し口の近くで小さな虫を見た——。気持ちのいい話ではないが、原因ははっきりしている。エアコンには外とつながっている経路がいくつかあり、そこから入ってくる。この記事では侵入経路と塞ぎ方を整理したうえで、エアコンに殺虫剤を使ってはいけない理由と、掃除で取れる範囲・取れない範囲を書いた。
- 出てきた虫や死骸は、拭き取って捨てる……掃除機で吸うと排気で細かいものが舞う。濡らした紙か粘着クリーナーで取る
- 殺虫スプレーをエアコンに向けて噴かない……後述するとおり、メーカーが止めている行為にあたる
- 運転は続けて構わない……ただし焦げ臭さや異音があるなら止めて電源プラグを抜く
- 経路を塞ぐのは、内部の確認をしてから……先に塞ぐと、中にいる虫を閉じ込めることになる
| 侵入経路 | 自分で塞げるか | 対処 |
|---|---|---|
| ドレンホースの先端 | できる | 防虫キャップを付ける/先端を地面から浮かせる |
| 配管穴のパテの隙間 | 持ち家なら可 | 屋外側のパテを補修する。賃貸は自分でやらない |
| 本体まわり・壁の隙間 | できない | 施工の問題。工事業者・管理会社に相談 |
| 部屋の中から本体へ | 部屋側の対策 | エアコンではなく室内の害虫対策の問題 |
ドレンホースの先端をまず確認する

ドレンホースは、冷房時に発生した結露水を屋外へ捨てるための管だ。屋外側の先端は開いたままになっているため、経路として最初に確認したい場所になる。地面に近い位置で終わっていたり、先端が草むらや排水溝の近くにあったりすると、なおさら入りやすい。
すでにホースの中に虫が入り込んでいる状態でキャップを付けると、閉じ込めることになる。死骸がホース内に残れば詰まりの原因にもなる。先に排水が正常に流れているかを確認し、詰まっているようならホース内を通してから塞ぎたい。ドレンホースの詰まりの取り方は別記事にまとめた。
防虫キャップの選び方と付け方
- 「水は通すが虫は通さない」構造のものを選ぶ……目が細かすぎるものは詰まる。虫を防ぐことより、排水を止めないことが優先
- 先端を地面から数センチ浮かせる……地面に接していると、キャップを付けても虫が伝ってくるうえ、泥や落ち葉で詰まりやすい
- ストッキングなどで代用する場合は輪ゴムで軽く留める……目詰まりしていないか定期的に見る
- 付けたあとに排水を確認する……冷房を運転して、ホースから水が出ることを確かめる
目詰まりさせてしまうと、水の行き場がなくなって室内機から水漏れが起きる。虫対策で水漏れを招くのは本末転倒なので、ここは慎重にやりたい。
配管穴のパテが劣化している
室内機と室外機をつなぐ配管は、壁に開けた穴を通っている。この穴は施工時にスリーブをはめ、パテやコーキング材で塞ぐのが標準的な仕上げだ。
ところが、このパテは経年で縮んだり、ひび割れたり、剥がれ落ちたりする。隙間ができれば、そこは虫の通り道になる。ドレンホースを塞いでも虫が出続けるなら、こちらを疑いたい。室内側だけでなく屋外側の状態を確認するのが重要で、屋外側が開いていれば壁の中に入られることになる。
配管穴は建物側の設備にあたる。パテの劣化は通常の経年変化なので、貸主の負担で対応してもらえるのが一般的だ。自己負担で直す必要はない。
むしろ、許可なく自分で手を加えると、退去時に原状回復の費用を請求されるリスクがある。まず管理会社に連絡して、状況を伝えてほしい。
持ち家であれば、補修用のエアコンパテはホームセンターで買える。古いパテを取り除いて詰め直す作業自体は難しくないが、高所であれば無理をしないこと。
エアコンに殺虫剤を使ってはいけない
虫が出たとき、つい吹き出し口に向けて殺虫スプレーを噴きたくなる。これはやってはいけない。
ダイキンは公式サイトで、エアコン内部やフィルター類に除菌・消臭・殺虫スプレーを噴きかけないよう案内している。理由は2つ挙げられている。
- スプレーに含まれる成分によって、部品の故障やガス漏れ、水漏れにつながるおそれがある
- スプレー類には可燃性ガスが含まれていることが多く、発火の原因になるおそれがある
スプレーの使用について、メーカーが挙げているリスクの全体像は別記事で整理した。
燻煙剤(バルサンなど)を使うときは
部屋全体に薬剤を行き渡らせるタイプの製品については、製品によって案内が異なる。精密機器へのカバーを求めているものもあれば、カバー不要をうたっているものもある。使用する殺虫剤の説明書を確認するのが原則になる。
判断がつかない場合は、電源プラグを抜いたうえで本体に軽くビニールをかけておけばいい。スプレーを直接噴射するのとは違い、部屋に薬剤を拡散させるタイプであれば、その程度の対応で足りる。
内部に虫がいる・死骸がある場合
すでに本体の中に入り込んでいる場合、自分で取り出すのは難しい。分解しないと届かない場所に入り込むためだ。ここで注意したいのが、相談先が3つに分かれることになる。
| 状況 | 相談先 |
|---|---|
| 死骸やフンが溜まっている(汚れの問題) | エアコンクリーニング業者。分解洗浄で洗い流せる |
| 生きた害虫が繰り返し出る(駆除の問題) | 害虫駆除の専門業者。エアコンだけ洗っても部屋側の巣は残る |
| 配線をかじられた・動作がおかしい | メーカーの修理窓口 |
クリーニング業者に依頼する場合、予約時に「虫が入っている可能性がある」と伝えておくほうがいい。業者によって対応の可否が分かれることがあり、当日になって断られると時間を無駄にする。
業者ごとの費用と、追加料金が発生しやすい条件は別記事にまとめた。
黒い粒が落ちているなら
エアコンの下に黒い粒が落ちている場合、それがカビの塊なのか虫のフンなのかで対処が変わる。湿っていて指でつぶれるならカビ、乾いていて硬いなら虫のフンの可能性が高い。判別の方法は別記事にまとめた。
虫のフンだった場合、いくらエアコンを洗っても解決しない。侵入経路を塞ぎ、部屋側の対策をするほうが先になる。
よくある質問
小さい虫が室内機の表面を歩いているのですが大丈夫ですか?
チャタテムシのような1mm前後の虫は、湿気とカビのある場所に発生する。エアコン内部が湿ってカビが繁殖していると、その周辺で見かけることがある。この場合は侵入経路の話ではなく、内部の湿気とカビを減らすほうが対策になる。運転後に内部を乾かす習慣が効く。
ドレンホースを完全に塞いでもいい?
だめだ。ドレンホースは結露水を排出するための管なので、塞げば水の行き場がなくなり、室内機から水が漏れる。虫対策で使うのは、水は通るが虫は通れない構造のキャップになる。自作する場合も、水が流れることを必ず確認してほしい。
エアコンを使わない時期も虫は入る?
入る。ドレンホースや配管穴は、運転の有無に関係なく外とつながっているためだ。防虫キャップは年間を通して付けておくものだと考えたい。ただし付けっぱなしにすると詰まりに気づきにくいので、シーズン前の試運転のときに状態を確認しておくといい。
まとめ
- 最初に確認するのはドレンホースの先端。ただし塞ぐ前に中に虫が残っていないか確認する
- 防虫キャップは「水は通すが虫は通さない」構造のものを。目が細かすぎると水漏れの原因になる
- ドレンホースを塞いでも虫が出るなら、配管穴のパテの劣化を疑う
- 賃貸の配管穴は自分で補修しない。経年劣化は貸主負担が一般的で、無断補修は退去時の請求リスクになる
- 殺虫スプレーをエアコンに噴きかけない。部品の故障・ガス漏れ・水漏れ・発火のおそれがある(ダイキン)
- 死骸の掃除はクリーニング業者、繰り返し出るなら害虫駆除業者と、相談先が分かれる













