モバイルバッテリーの処分|膨張したものはどこに出す

モバイルバッテリーの処分|膨張したものはどこに出す

引き出しから出てきたモバイルバッテリーが、明らかに膨らんでいる。不用品回収業者に頼もうとしても断られ、家電量販店の回収ボックスにも入れられない。結論から書くと、膨張・破損したリチウムイオン電池はJBRCの回収ボックスの対象外で、行き先は自治体の窓口になる。しかも自治体ごとに受け取り方が違い、集積所に出せる市もあれば、事務所へ持ち込むよう求める市もある。この記事では、状態別の出し先と、そもそも普通のごみに混ぜてはいけない理由を整理した。

状態JBRC回収ボックス出し先
正常(JBRC会員企業製)対象協力店・協力自治体の回収ボックス
メーカー不明・マークなし対象外自治体の窓口に相談
膨張・破損・水濡れ対象外自治体の窓口に相談(市によって方法が違う)
どの状態でも共通燃えるごみ・燃えないごみに混ぜない

ごみに混ぜると収集車と処理施設が燃えている

「1個くらい」と思って燃えないごみに入れると、燃えるのは自宅ではなく収集車だ。東京消防庁の集計によれば、「令和6年におけるごみ収集車の火災は33件発生しました。特に、リチウムイオン電池を含む製品が発火源となる火災が増加傾向にあります。令和6年は発火源がリチウムイオン電池関連の火災が最も多く14件発生し、次いでエアゾール缶等の火災が8件発生しています。」とされている。ごみ処理関連施設でも同年17件の火災が発生し、うち7件がリチウムイオン電池関連だった。

原因はしくみ上避けられない。同庁は、リチウムイオン電池は電解液として可燃性の有機溶剤を使用しているため、衝撃により内部の正極板と負極板が短絡し、急激に加熱後、揮発した有機溶剤に着火して出火することがあると説明している。収集車の回転盤は電池を確実に潰す。

総務省消防庁のリチウムイオン電池総合対策ポータルサイトも、リチウムイオン電池を「高エネルギー」かつ「衝撃に弱い」と整理し、強い衝撃や圧力、水濡れで発熱・発火することがあるとしている。

正常なものはJBRCの回収ボックスへ

状態が正常なら、まず販売店やメーカーの自主回収を使う。消防庁のポータルも、廃棄時の選択肢として一般社団法人JBRCが設置する「小型充電式電池リサイクルBOX」を挙げている。

ただし何でも入れられるわけではない。JBRCは不要電池の出し方で、回収対象かどうかはリサイクルマークの有無ではなく次の条件をすべて満たすかで判断するよう求めている。①JBRC会員企業製であること(会員企業外品やメーカー不明品は回収対象外)、②電池種類が明確であること、③「破損、水濡れや膨張等の異常のある電池や、外装なしのラミネートタイプの電池ではないこと」の3つだ。

出すときの作法も決まっている。金属端子部は絶縁テープで絶縁する。そしてモバイルバッテリーについては、JBRCは「携帯電話・スマートフォンへの充電を主機能とするモバイルバッテリーのみ本体回収になりますので、分解して電池を取り出さないでください。」としている。中の電池を取り出そうとするのが最も危険な作業だ。

膨張したものは自治体によって受け取り方が違う

問題は膨らんだものだ。JBRCの回収対象から外れるため、行き先は自治体になる。ところがその自治体の対応が一様ではない。

自治体膨張・破損したものの扱い
横浜市各区の資源循環局事務所に持ち込む
川崎市他の電池と分けて透明な袋に入れ、貼り紙をして資源物集積所に出す
調布市資源循環推進課に問い合わせる

横浜市は分別辞典で、充電池式の電池について可能な限り使い切ってテープなどで絶縁すること、膨張・破損しているものは各区の資源循環局事務所に持ち込むことを求めている。同市は膨張した小型充電式電池の処分方法という専用ページまで用意し、検索結果やAIによる概要を見た市外の人からの問い合わせが多いため、市外の人は各自治体に直接連絡するよう呼びかけている。

川崎市は集積所に出せる。同市は「膨張・変形している充電式電池は、 他の電池と分けて透明な袋に入れ、貼り紙をして出してください 。」とし、貼り紙の記載例として「リチウム膨張」「リチウム変形」を挙げている。あわせて「JBRC回収協力店では、メーカーがわからないものやリサイクルマークのついていないもの、破損・膨張しているものは回収できませんのでご注意ください。」と明記し、回収先のない電池は生活環境事業所で受け取るとしている。

調布市は「(注)破損、水濡れ、膨張などの異常のあるものは、資源循環推進課にお問い合わせください。」という案内だ。つまり「膨張したモバイルバッテリーの捨て方」に全国共通の答えはない。自分の市の名前で検索するか、電話するのが最短になる。

不用品回収業者に頼めるか

⚠️ 断られることが多く、無許可業者に流れやすい
膨張したリチウムイオン電池は発火リスクを抱えた荷物なので、引き受けない業者は珍しくない。ここで「何でも回収します」という広告に飛びつくと別の問題が起きる。国民生活センターは2022年11月2日に市区町村の一般廃棄物処理業の許可を受けず違法に回収を行う事業者への注意喚起を公表している。
自治体の窓口なら基本的に無料で受け取ってもらえる。電池1個のために回収を依頼するより、まず市に電話するほうが早くて安全だ。

片付け全体を業者に頼む場合は、見積もりの段階でリチウムイオン電池を含む製品があることを伝えておきたい。コードレス掃除機や電動アシスト自転車のバッテリーも同じ扱いになる。川崎市は、家電製品から充電式電池を無理に取り外そうとすると発煙・発火の可能性があり危険なため、取り外さないまま出すよう求めている。

もし発火したときの対処

消防庁は、製品が急に激しく燃え出した場合はまず大声で周囲に知らせ、製品から離れて身の安全を確保するよう求めている。そのうえで119番通報、安全が確保できる状況であれば消火器を使うか大量の水をかける、水をためたバケツに投入する、という順序を示している。同庁は「炎が消えても再び出火する可能性があるので、消防隊が到着するまで触れないようにしましょう。」としている。

膨張したバッテリーを見つけたら、金属製の容器や不燃性の場所に移し、可燃物から離しておく。充電はしない。使いかけのまま引き出しに戻すのが、いちばんまずい対応になる。

よくある質問

膨張したモバイルバッテリーを回収してくれる業者が見つかりません。どうすればいいですか?

まず住んでいる市区町村に電話してほしい。横浜市は各区の資源循環局事務所への持ち込み、川崎市は貼り紙をして集積所へ、調布市は担当課へ問い合わせと、対応が分かれている。JBRCの回収協力店は膨張したものを受け取れないため、店を回っても解決しない。自治体の窓口が正規の受け皿になる。

モバイルバッテリーを分解して電池だけ取り出してもいいですか?

やめてほしい。JBRCは、携帯電話・スマートフォンへの充電を主機能とするモバイルバッテリーは本体回収になるため分解しないよう求めている。分解時の傷や圧力が短絡につながり、発火の直接の原因になる。川崎市も、家電製品から充電式電池を無理に取り外すのは危険だとしている。

使い切ってから捨てたほうがいいのですか?

そのほうがよい。消防庁は、安全な回収のため動かなくなるまで使い切り、放電して残量をゼロにすることで発火リスクを抑えられるとしている。横浜市も可能な限り使い切ってテープで絶縁するよう案内している。ただし膨張しているものを無理に使い切ろうとするのは危険なので、その場合は放電せずに自治体へ相談してほしい。

横浜市が「膨張したモバイルバッテリー」専用ページを作って問い合わせ対応に追われている時点で、みんな同じところで詰まっているのが分かる。

まとめ

モバイルバッテリーは燃えるごみにも燃えないごみにも混ぜられない。東京消防庁の集計では令和6年のごみ収集車火災33件のうち14件がリチウムイオン電池関連だった。正常なものはJBRCの回収ボックス、端子は絶縁して分解しない、が基本になる。

膨張・破損したものはJBRCの対象外で、自治体の窓口が受け皿になる。ただし持ち込みか集積所かは市によって違う。業者を探し回るより、まず市区町村に一本電話を入れるのが最短だ。

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