畳に緑っぽいカビが浮いてきた——このとき最初に掃除機をかけてはいけない。全日本畳事業協同組合が示す手順では、先に酢の原液を吹きかけて胞子の飛散を止めてから乾燥・吸引に進む。順序が逆だと、カビを部屋中にまき散らすことになる。この記事では正しい手順と、そもそもカビが出た意味を整理する。
| 順 | やること | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 酢の原液をスプレー | 胞子の飛散を防ぐ・殺菌 |
| 2 | 十分に乾燥(換気またはドライ) | 湿ったままでは再発する |
| 3 | 掃除機を目に沿ってゆっくり | 畳を傷めず吸い取る |
| 4 | 目に詰まった分は歯ブラシ | 掃除機では届かない |
| 5 | アルコールか酢湯で拭く | 仕上げの殺菌 |
| 6 | 乾燥を続ける | 水分を残さない |
畳のカビは「部屋の湿度が高い」という信号
全日本畳事業協同組合は、畳にカビが出る理由をこう説明している。「畳表はイ草と言う天然素材で出来ています。そのため革製品や食べ物と同じく高温・多湿の状態が続くとカビが生えることがあります」
ただし畳が特別に弱いわけではない。同組合は「畳は住宅内の建材・素材の中でも湿気を吸収する能力がトップクラスです」とし、その性質を「畳の吸・放湿性 = 吸収は早く、放出はゆっくり」と表現している。
湿気を吸ってくれるのは本来長所だ。「梅雨時期や雨の日など湿度が高い日が続きますと湿気を大量に吸収してしまいます。そこに温度が加わることで、カビが発生する条件が整います」
そして重要なのがこの一文になる。「畳のカビは住宅内の高湿度の警告信号です」
同組合は「今目に見えて被害は無くても高湿度の状態は畳以外の物にも悪影響を与えます」とし、「ぜひ建物内の湿気対策と共に、他の物もチェックしてみてください」と促している。
畳が先に出るだけで、押入れ・クローゼット・家具の裏も同じ環境にある——そう読むのが正しい。
取り方の手順。最初にやるのは掃除機ではない
同組合が示す手順は次のとおり。
1. 酢の原液をスプレーで吹きかける
「まず、酢の原液をスプレーに入れ直接カビに吹き掛けて下さい。カビの胞子の飛散を防止し、カビの菌に対する殺菌効果があります」
いきなり掃除機をかけると、乾いた胞子が舞う。先に濡らして押さえるのが理にかなっている。
2. 乾燥させる
「当日が良いお天気で湿気の少ない日であれば窓を開け、そうでない場合は、エアコンのドライ機能を活用し、十分に乾燥させてください」
3. 掃除機をかける
「その後、掃除機(ヘパフィルターの付いた掃除機が出来れば望ましい)で畳表の目に沿ってゆっくり丁寧に掛けて下さい」
日常の手入れでも「掃除機は、畳の目にそってやさしくかけてください。目の中の埃がよく取れ、畳も傷めません」とされている。目に逆らうとイ草が起きて傷む。
4. 目に詰まった分を取る
5. 拭き上げる
「その後は消毒用アルコールか酢を入れた少し熱めのお湯で拭いて下さい。(乾燥を早めるため)」——最後は「後は乾燥を心掛けて下さい」で締めくくられている。
同組合は「※注意事項:原液が畳の畳縁や畳以外の物に掛からないように十分注意をして行って下さい」としています。理由は「畳縁は素材によっては変色する場合があります。また金属類は腐食の原因になります」。
縁(へり)と金具を避けるのが条件です。畳の縁ぎわにカビが出ている場合は、スプレーではなく布に含ませて当てるほうが安全になります。
予防は「乾燥」に尽きる
同組合は湿度が高い日が続くときの心がけとして、次を挙げている。
- 「換気を心がけ、エアコンのドライ機能を上手に活用しましょう」
- 「普段よりこまめで丁寧なお掃除を心掛けましょう」
- 「室内を整理して空気の流れが良くなるようにしましょう」
- 「室内に洗濯物を干すのは控えましょう」
先回りする方法もある。「あらかじめ、酢を入れたお湯 で畳拭きして予防することも有効です」——濃度は「酢を入れたお湯:濃度はバケツ一杯のぬるま湯にコップ一杯の酢」。「消毒用アルコールも有効です。酢と同様で結構です」ともある。
ただし条件がつく。「※但し、こちらは良く晴れた乾燥した日に行って下さい」——湿った日に水分を足せば逆効果になる。
同組合はお手入れのページで、次を発生原因として挙げています。
畳の上に敷物を敷くのも避けたい点です。同組合は「畳は呼吸しています。畳の上にカーペットや上敷きなどを敷くと呼吸を妨げ湿気をこもらせるのでカビの原因となります」としています。
拭き掃除の水分にも注意
カビを取ったあとの日常の手入れにも条件がある。同組合は「普段のお掃除は掃除機を丁寧にかけていただければ十分です。拭き掃除をされる場合は、乾拭きか、お湯で固く絞った雑巾で行い、余分な水分は吸収させないようにしましょう」としている。
畳は吸収が早く放出が遅い——だから濡らした分だけ、しばらく湿ったままになる。水拭きは「固く絞る」が前提になる。

組合が示しているのは酢と消毒用アルコールで、塩素系のカビ取り剤は出てこない。イ草は天然素材なので、塩素系を使うと脱色して跡が残る可能性がある。
広い範囲に出ている、何度取っても再発する、畳の内部(畳床)まで湿っている——こうした場合は畳店に相談するのが早い。表替えや裏返しで解決することもある。
また、カビが畳だけの問題ではないなら、部屋全体の湿気対策が必要になる。押入れやクローゼット、壁の裏側まで含めて見直すなら、ハウスクリーニングと合わせて相談する方法もある。
よくある質問
畳のカビはいきなり掃除機で吸ってもいいですか?
先に酢の原液をスプレーしてください。全日本畳事業協同組合は「まず、酢の原液をスプレーに入れ直接カビに吹き掛けて下さい。カビの胞子の飛散を防止し、カビの菌に対する殺菌効果があります」としています。乾いた状態で吸うと胞子が舞うため、濡らして押さえてから乾燥させ、そのあとに掃除機をかける順序になります。掃除機は「畳表の目に沿ってゆっくり丁寧に」かけます。
畳のカビ取りに酢を使うとき注意することはありますか?
畳縁と金属を避けてください。同組合は「原液が畳の畳縁や畳以外の物に掛からないように十分注意をして行って下さい」とし、「畳縁は素材によっては変色する場合があります。また金属類は腐食の原因になります」としています。予防目的で薄める場合の濃度は「バケツ一杯のぬるま湯にコップ一杯の酢」で、「良く晴れた乾燥した日に行って下さい」という条件がつきます。
畳にカビが生えるのは畳が悪いからですか?
部屋の湿度が高いことの表れです。同組合は「畳のカビは住宅内の高湿度の警告信号です」とし、「今目に見えて被害は無くても高湿度の状態は畳以外の物にも悪影響を与えます」としています。畳は「湿気を吸収する能力がトップクラス」で、他の素材より先に症状が出ます。畳だけを処置せず、換気・除湿・室内干しの見直しまで含めて対応してください。
まとめ
- 順序は酢の原液 → 乾燥 → 掃除機 → 歯ブラシ → 拭き上げ → 乾燥
- いきなり掃除機はNG。胞子が飛ぶ
- 掃除機は目に沿ってゆっくり。ヘパフィルター付きが望ましい
- 酢の原液は畳縁と金属を避ける(変色・腐食)
- 予防の薄め方はぬるま湯バケツ1杯にコップ1杯の酢。晴れた日に
- 拭き掃除は乾拭きか固く絞った雑巾。水分を残さない
- 畳の上にカーペットや上敷きを敷かない(呼吸を妨げる)
- 畳のカビは住宅内の高湿度の警告信号。部屋全体を見直す








