ハウスクリーニングを頼むとき、床のワックスがけをオプションで勧められることがある。ただ、近年の床材はワックス不要のものが増えている。しかもメーカーによっては、ワックスをかけると床が本来持っている性能が発揮されなくなると明記している。この記事では、かけるべきかどうかを判断する材料を整理する。
| 床の状態 | ワックスの扱い |
|---|---|
| ワックス不要タイプ | かけなくてよい。かけると塗膜性能が失われる |
| 防滑・サニタリー用 | かけられない(滑り性能・水まわり性能が損なわれる) |
| すでに塗ってある | 剥離+再塗布が必要。上塗りだけだとムラが残りやすい |
| 分からない | 床材の型番を調べてから。判断を業者任せにしない |
「ワックスがけは必要ありません」と書くメーカーがある
朝日ウッドテックは自社の床材について、「当社床材のワックスがけは必要ありませんが、希望される場合はワックスがけが可能です」としている。
注目したいのはその続きだ。「但し、フロアの表面がワックスの被膜となるため、傷の付きにくさ、抗菌・抗ウイルス性等の塗膜性能が発揮されなくなります」
つまりワックスは床を守るのではなく、床が持っている機能を覆い隠すという位置づけになっている。傷に強い塗装や抗ウイルス加工が施されていても、その上にワックスの膜が乗れば、触れているのはワックスのほうだからだ。
見た目も変わる。同社は「ワックスをかけると表面のツヤが上がり、本来の仕上がりとは異なってきます」としている。マットな質感を選んで入れた床が、ワックスで光る床になるということだ。
朝日ウッドテックは「また、防滑塗装品およびサニタリー用フローリングにはワックスはかけられません」としています。理由は「(犬にとっての適度な滑りにくさや、水廻りに適した表面性能が発揮できなくなります。)」から。
ペット用フローリングや洗面所・トイレの床が該当します。滑らないように作られた床にワックスをかければ、滑る床になります。
一度かけると、かけ続けることになる
ワックスは永久的なものではない。朝日ウッドテックは「またワックスを保つには定期的なワックスがけが必要になります」としている。
歩行で少しずつ削れ、部分的に薄くなる。放置するとムラのある見た目になるため、また塗ることになる。これが年1回程度の作業として続いていく。
さらに、塗り重ねだけを続けると層が厚くなり、黄ばみや白濁が出る。そうなると剥離剤で全部落としてから塗り直す作業が必要になる。剥離は塗布より手間も費用もかかる。
「一度かけたら、やめるのにも作業が要る」——これがワックスの実態になる。
掃除の選択肢も狭くなる
ワックスの有無は、日常の掃除方法にも影響する。
朝日ウッドテックは床専用クリーナーについて「ワックスが塗布されていない場合に限ります。ワックスが塗布されていると、クリーナーでワックスを剥がしてしまい、ムラになります」としている。
ワックスをかけた床では、皮脂汚れ用のクリーナーが使えなくなるということだ。黒ずみが出たときの手段が減る。
道具にも制限が出る。同社は化学雑巾・化学モップについて「ご使用される場合は、水濡れ箇所や、ワックスがけの前後には絶対に使用しないでください。また、長時間床の上に置かないでください。変色を起こすおそれがあります」としている。
ハウスクリーニングで頼むときの考え方
業者のワックスがけは、床清掃とセットのオプションとして提示されることが多い。判断の順序はこうなる。
- 床材が何かを確認する——入居時の書類、建物の仕様書、賃貸なら管理会社。ワックス不要タイプなら、そもそも不要
- すでにワックスが塗ってあるかを確認する——塗ってあるなら、剥離が必要かを業者に見てもらう
- 目的を確認する——「見た目のツヤ」が目的なのか、「保護」が目的なのか。保護目的なら、床材によっては逆効果になる
賃貸の場合はもうひとつある。退去時の原状回復にワックスがけが含まれるかどうかだ。契約によっては借主負担の項目に入っていることがあり、その場合は自分で先にかけても意味がない。

断りづらいなら、「床材のメーカーがワックス不要としているので、今回は床清掃だけでお願いします」と言えばいい。理由が床材側にあるなら、業者も無理に勧めにくい。
逆に、床材が分からないまま「とりあえずかけておく」のがいちばん避けたい。防滑タイプにかけてしまえば滑りやすくなり、抗ウイルス加工の床なら性能が覆われる。元に戻すには剥離作業が要る。
見積もりの段階で、床材の型番を伝えて「この床にワックスは必要か」を確認しておくと確実だ。複数社に相談すれば、判断が分かれるかどうかも見える。
よくある質問
フローリングのワックスがけは必要ですか?
床材によります。朝日ウッドテックは自社製品について「当社床材のワックスがけは必要ありませんが、希望される場合はワックスがけが可能です」としたうえで、「フロアの表面がワックスの被膜となるため、傷の付きにくさ、抗菌・抗ウイルス性等の塗膜性能が発揮されなくなります」としています。ワックス不要タイプの床では、かけることで性能が失われる側面があります。まず自分の床材が何かを確認するのが先です。
ワックスをかけてはいけない床はありますか?
あります。朝日ウッドテックは「防滑塗装品およびサニタリー用フローリングにはワックスはかけられません」とし、理由を「犬にとっての適度な滑りにくさや、水廻りに適した表面性能が発揮できなくなります」としています。ペット用フローリングや水まわりの床が該当し、滑りにくく作られた床が滑るようになります。
ワックスをかけると掃除は楽になりますか?
選択肢はむしろ狭くなります。朝日ウッドテックは床専用クリーナーについて「ワックスが塗布されていない場合に限ります。ワックスが塗布されていると、クリーナーでワックスを剥がしてしまい、ムラになります」としています。皮脂汚れ用のクリーナーが使えなくなるほか、「ワックスを保つには定期的なワックスがけが必要になります」ため、維持の手間が継続します。
まとめ
- ワックス不要の床材が増えている。朝日ウッドテックは「必要ありません」と明記
- かけると傷の付きにくさ・抗菌・抗ウイルス性等の塗膜性能が発揮されなくなる
- 防滑塗装品・サニタリー用にはかけられない(ペット用・水まわり)
- ツヤが上がり本来の仕上がりとは異なる見た目になる
- 一度かけると定期的なワックスがけが必要になる
- ワックスがあると床用クリーナーが使えない——掃除の手段が減る
- 業者に勧められたら床材の型番を確認してから判断する








