引っ越しや遺品整理で、粗大ゴミが10点も20点も出る。まとめて集積所に出せばいいと思っていると、そこでつまずく。結論から書くと、一度に大量に出るごみは「一時多量ごみ」として通常の粗大ゴミ収集とは別枠で扱われ、そもそもまとめて集積所に出せない自治体がある。横浜市は1回の申込を9個までとし、名古屋市と仙台市は専用の制度を用意している。使えるルートは3つで、それぞれ費用と手間が違う。順に整理する。
| ルート | 費用の例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 1. 通常の粗大ごみ収集を複数回 | 品目別手数料のみ | 時間に余裕があり、点数が上限内に収まる |
| 2. 自己搬入 | 名古屋市10kg200円/仙台市100kgまで1,500円 | 車があり、自分で積み下ろしできる |
| 3. 許可業者に依頼 | 業者見積(室内整理の有無で変動) | 日程が迫っている、運び出しができない |
| (仙台市)臨時ごみ収集 | 品目別料金+10kgごと260円+収集手数料1回1,000円 | 立ち会えて、市の収集で済ませたい |
まとめて集積所に出すことはできない
まずここを押さえたい。横浜市は「引っ越しや遺品整理など、ご家庭から一度に多量に出るごみは、収集に支障をきたすため、まとめて集積場所に出すことができません。市の処理施設等にご自身で持ち込むか、一般廃棄物収集運搬の許可を受けた業者に処理を依頼してください。」としている。つまり選択肢が最初から2つに絞られる。
点数の上限を設けている自治体もある。横浜市の粗大ごみ収集は「収集の申込み上限は、9個までです。」で、自己搬入なら1日20個まで。世田谷区の持ち込みは「お持ち込みは1世帯あたり1日1回、1回あたり10個までです。」だ。20点あるなら2日に分ける必要がある。
一方、大阪市は通常の粗大ごみ収集で受けるとしている。同市は「家庭の引越しや大掃除などで一時的に多量に出されるごみについては、粗大ごみとして収集します。」という扱いだ。ここも自治体で分かれる。
名古屋市は3つの方法を並べて示している
名古屋市の一時多量ごみのページは、選択肢の全体像が整理されていて分かりやすい。同市は「以下の3つの処理方法があります」として、通常の市の収集で排出する、自己搬入する、許可業者に依頼するの3つを挙げる。1つ目については「一度に大量にならないように計画的に出してください。」と、分散を求めている。
2つ目の自己搬入は「重量に応じて料金(10キログラムごとに200円)がかかります。」で、点数ではなく重さで決まる。品目別手数料が積み上がる収集と比べると、点数が多いほど有利になりやすい。
3つ目の許可業者について、同市は重要な情報を書いている。「許可業者によって「室内整理から」、「室内からの搬出から」、「ごみ置き場からの運搬のみ」と対応可能な条件が違います。」——同じ「回収業者」でも引き受ける範囲が三段階に分かれるということだ。部屋の片づけから頼みたいのか、玄関先まで出したものを運んでほしいだけなのかで、探すべき業者が変わる。
同市は依頼時の手続きとして「(注)依頼する際は、必ず「一時多量ごみ等処理申込書」(下記よりダウンロード可)を許可業者に提出ください。」と、書面の提出を求めている。
仙台市の臨時ごみは料金の構造が独特
仙台市には「臨時ごみ」という制度があり、「引越しや大掃除などでごみが多量に出る場合の出し方です。(多量のごみはごみ集積所には出せません。)」と位置づけられている。料金は3つの要素の合計で、同市は「処理手数料=「粗大ごみの品目別料金」+「その他のごみの料金」+「収集手数料」」と示し、「「その他のごみの料金」は、10kgごとに260円」、「「収集手数料」は、1回につき1,000円」としている。
支払いは現地で現金だ。同市は「収集の際に、処理手数料を現金でお支払いください。」とし、「粗大ごみ手数料納付券は使用できません。」と注記する。通常の粗大ごみ用に買った納付券は使えない。加えて「収集の際は立ち会いが必要です。」という条件もある。
国民生活センターは、寄せられた相談として「「トラック詰め放題」との広告を見て依頼したら、当日荷台の囲いの高さまでしか載せられないと言われ、断るとキャンセル料を請求された。」という事例を紹介している。同センターは見積もりを取るときのポイントとして「・市区町村のホームページ等から一般廃棄物処理業の許可業者を探す ・追加料金の有無を確認する ・作業内容、料金を明確に出してもらう ・キャンセル料を確認する」の4点を挙げる。大量処分は金額が大きくなるぶん、被害額も大きくなりやすい。
業者に頼むなら許可の確認が先
大量処分は業者に頼むのが最も楽だが、資格の確認は避けて通れない。国民生活センターは「一般家庭から出る廃棄物の収集・運搬には、廃棄物処理法に基づく「一般廃棄物処理業の許可」または「市区町村からの委託」が必要ですが、産業廃棄物処理業の許可のみの事業者等、一般廃棄物処理業の無許可業者とのトラブルが目立ちます。」としている。産業廃棄物の許可では家庭ごみを扱えないという点が、混同されやすい。
名古屋市も同じ趣旨で「市の許可のない回収業者は利用しないでください。(高額請求のトラブルが報告されています。古物商や産業廃棄物収集運搬業の許可では家庭ごみは回収できません。)」と注意する。仙台市は「市の許可業者が巡回収集を行うことはありません。」とも書いており、軽トラックで巡回してくる業者は許可業者ではないと判断できる。許可業者の一覧は各自治体のサイトで公開されている。
もっとも、名古屋市が室内整理・搬出・運搬の三段階を挙げているとおり、許可業者ならどこでも同じことをしてくれるわけではない。複数社から見積もりを取り、作業範囲と追加料金の有無を書面で確認しておきたい。
大量に出る前にリユースへ回す
点数を減らせば、どのルートでも費用は下がる。名古屋市は一時多量ごみのページの冒頭で「「ジモティースポット名古屋」を西区、港区、守山区に開設。持ち込み頂いたリユース品を処理手数料なしで引き取ります。土曜日・日曜日・祝日も営業しています。」と案内している。土日も開いているので、引っ越し準備の週末に持ち込める。
横浜市は自己搬入ヤードのページでも「【お知らせ】自己搬入ヤードへ持ち込む前にリユースを検討してみませんか?」と呼びかけ、大型家具・家電の出張買取に対応する事業者を挙げている。運ぶ点数そのものを減らすのが、結局いちばん効く。
よくある質問
粗大ゴミを一度に大量に出すことはできますか?
自治体によって扱いが違う。横浜市は「まとめて集積場所に出すことができません」として、自己搬入か許可業者への依頼を求めている。同市の粗大ごみ収集の申込上限は9個、自己搬入は1日20個までだ。世田谷区の持ち込みは1世帯1日1回・10個まで。一方、大阪市は引越しや大掃除で一時的に多量に出るごみも粗大ごみとして収集するとしている。
粗大ゴミの即日回収は可能ですか?
市の収集では難しいが、別のルートなら可能性がある。横浜市の自己搬入は枠が空いていれば当日持ち込むことができ、インターネット受付の締切は搬入日当日の15時だ。大阪市はリユースの連携事業者について、最短で当日に引き取ることが可能としている。民間の回収業者に依頼する場合は、一般廃棄物処理業の許可を受けているかを先に確認してほしい。
遺品整理で出た粗大ゴミも同じ扱いですか?
同じ扱いになる。名古屋市は「引越しや片付け、遺品整理などで一度に大量に出るごみ(一時多量ごみ)の処理」というページで、遺品整理を引っ越しと並べて案内している。横浜市も一時多量ごみの例として遺品整理を挙げている。ただし名古屋市のなごやか収集のような高齢者向けの持ち出し支援は、引越し・退去等に伴い多量に発生したものを対象外としている点に注意したい。

まとめ
粗大ゴミの大量処分は、通常の収集とは別の枠組みになる。横浜市はまとめて集積所に出せないとし、収集の申込上限を9個としている。名古屋市は通常収集・自己搬入・許可業者依頼の3つを並べ、仙台市は臨時ごみとして品目別料金+10キログラム260円+収集手数料1,000円という料金構造を用意している。
選ぶ基準は、日程と運び出しの可否だ。時間があって点数が上限内なら通常収集、車と体力があるなら自己搬入、どちらも難しいなら許可業者になる。業者に頼むときは、一般廃棄物処理業の許可があるか、作業範囲がどこからどこまでかを、見積もりの段階で確認しておきたい。









