魚を焼くたびに、グリルの掃除が面倒で使わなくなる——よくある話だ。だが各社の案内を読むと、掃除を簡単にする鍵は「洗い方」より「焼く前の準備」にあることが分かる。予熱の有無と油の塗り方で、こびりつきそのものを減らせるからだ。この記事では汚れをつけない準備と、ついてしまった場合の部位別の落とし方を、メーカーの案内から整理する。
| 部位 | 落とし方 |
|---|---|
| 受け皿 | 使うたびに中性洗剤で水洗い(ノーリツ)。落ちなければ洗剤液に浸けてふやかす |
| 焼き網 | 水に浸け置き、または中性洗剤をかけて5分放置してからスポンジで(ノーリツ)。お湯でふやかす方法も(パナソニック) |
| 庫内 | 中性洗剤を含ませたキッチンペーパーを貼る湿布法 |
| 前面のガラス | 中性洗剤をつけたキッチンペーパーを内側と外側に貼って15分(ノーリツ) |
| 共通の禁止 | タワシ・スポンジの固い面はフッ素コートを傷める(3社が一致) |
掃除を簡単にする準備は、焼く前にある
いちばん効くのがここだ。こびりつかなければ、掃除はほとんど要らない。ノーリツとパナソニックが、それぞれ別の角度から準備を案内している。
ノーリツは焼き網について「調理前に熱しておき、薄くサラダ油を塗っておくと、肉や魚がくっつきにくく、後片付けもラクになります」としている。予熱してから油を塗る——フライパンと同じ考え方だ。
パナソニックはもう一歩細かい。「点火後約2分予熱してから材料を入れてください」と時間を示したうえで、料理によって扱いを変えるよう案内している。
「つけ焼き・てり焼き・味噌漬けなどは焦げやすいので、予熱せずに網に油や酢を塗ってから焼きましょう」——タレのついた魚は予熱しない。糖分やみそが高温で先に焦げつくためだ。
さらに「魚の表面にレモンを塗ると、こびりつきもなく、風味も損ないません」という方法も挙げている。
| 焼くもの | 予熱 | 網に塗るもの |
|---|---|---|
| 塩焼きなど普通の魚 | 約2分する | 薄くサラダ油 |
| つけ焼き・てり焼き・味噌漬け | しない | 油または酢 |
ひと手間に見えるが、焦げついた網をこすり続ける時間より短い。
温かいうちか、冷めてからか——見解が分かれる
掃除のタイミングについては、メーカーによって案内が違うので注意したい。
パナソニックは「温かいうちに油汚れをふけば、お手入れは簡単です!」とする一方で、同じ項目に「※使用直後の高温にご注意ください」と添えている。
ノーリツはより慎重で、「必ず庫内が冷めたことを確認してから作業を行ってください」とし、さらに「お手入れの際は、やけどやケガの予防として手袋をはめてください」としている。
両立させる方法がある。庫内はノーリツの指示どおり冷めてから、手袋をして作業する。そのうえで、取り外せる焼き網と受け皿だけは、やけどしない状態になった時点で取り出し、浸け置きを始めておく——こうすれば油が固まる前に着手でき、庫内に手を入れるのは冷えてからにできる。
庫内は扉が触れる温度でも、奥やバーナー周辺は高温のままのことがある。「触れそうだから」で手を入れないほうがいい。翌日まで放置すると油は固まるが、先に部品を浸けておけば翌日でも落ちる。
部位ごとの落とし方
受け皿と焼き網
ノーリツは受け皿について「使うたびに、中性洗剤で水洗いしましょう」とし、焼き網には「水に浸け置きするか、中性洗剤をかけて5分放置した後、スポンジで水洗いしましょう」としている。
5分という具体的な数字が示されているのがありがたい。こすり始める前に、洗剤に働かせる時間を取るということだ。
洗ったあとはよくすすぎ、完全に乾かしてから戻す。濡れたまま戻して点火すると、水滴が飛んだり錆の原因になる。
パナソニックも同じ方向で、焼き網は「焦げつきは、お湯にしばらく浸けてふやかせ、台所用洗剤(中性)をつけ、スポンジで汚れを落とします」、受け皿は「台所用洗剤(中性)をつけたスポンジで洗うか、洗剤液にしばらく浸けておき、汚れをふやかしてから落とします」としている。ふやかしてから落とすという順序は共通している。
庫内と前面のガラス
庫内を拭く前に一点。バーナー・点火プラグ・グリル過熱防止センサーには、洗剤や水をかけない。濡らすと点火不良や異常燃焼の原因になる。洗剤を使うのは側面と底面にとどめたい。
手が届きにくい庫内には湿布法が使われる。パナソニックは「底面の汚れは台所用洗剤(中性)を含ませたキッチンペーパーをはり付ける湿布法で。しばらく置いてからふき取ります」としている。
ノーリツも同じ方法を、時間つきで案内している。庫内は「薄めた中性洗剤を含ませた布かスポンジで、庫内の側面や底面を湿らせてください。しばらく放置し、汚れを浮かしてからふき取ります」とし、前面パネルについては「汚れがひどくなったら、薄めた中性洗剤をつけたキッチンペーパーをガラスの内側と外側に貼りつけ、15分ほど置いてから布やスポンジでふき取ります」としている。
内側と外側の両方に貼るのがコツだ。ガラスの汚れは両面についているので、片側だけでは曇りが残る。
庫内を洗剤で拭いたあとには条件がある。ノーリツは「洗剤の成分をしっかり除去するため、必ず水拭きしてください」としている。洗剤を残したまま火を入れないということだ。
焼き網や受け皿の多くはフッ素加工されている。ここを傷つけると、次から余計にこびりつく。3社が同じことを言っている。落ちないからと硬いもので削るのは、いちばんやってはいけない対処になる。
それでも焦げが落ちない焼き網は
網目に固まった焦げは、スポンジでは届かない。リンナイは専用の道具を案内している。
「キズがつく可能性がありますが」と前置きしたうえで案内している点に注目したい。メーカーとしても、ここまで来ると多少の傷は避けられないと認めている。
ナイロンたわしについても「ナイロンたわしで擦ると、汚れは取りやすくなりますが、細かいキズがつく恐れがあります」としている。
ただしここはメーカーで判断が分かれる。リンナイは「キズがつく」と断ったうえでナイロンたわしに言及しているが、パナソニックは「ナイロンネットのかぶったスポンジは使用しないでください」と明確に禁じている。自分の機種のメーカーの案内に従ってほしい——禁止しているメーカーの機種では、そもそも選択肢にならない。
もうひとつの出口として、焼き網は交換部品として買える。リンナイは「なお、この焼き網は、交換部品として販売しています」としている。何時間もこすり続けるより、買い替えたほうが早い場合がある。五徳も同じ考え方で単体購入できる。
なお焼き網や受け皿は、五徳と同じようには扱えない。フッ素加工やアルミが使われているため、重曹を入れて煮る方法は適さない。五徳の焦げ落としは別記事にまとめたが、そのまま流用しないでほしい。
食洗機に入れてもいいのか
楽をしたい部分だが、入れてはいけないものがある。リンナイの回答は部品ごとに分かれている。
グリルプレートについては「グリルプレートの表面が変色・変質する恐れがあるので、食器洗い乾燥機の使用はお控え下さい」としている。
ココットプレートはさらに細かく、「ココットプレートカバーは食洗機を使用できますが、 ココットプレート本体は表面にフッ素加工している為、表面が変色・変質する恐れがある ため、食洗機の使用はお控え下さい」としている。同じ製品でも、カバーは可・本体は不可という分かれ方だ。
注意したいのは、理由が同じではないことだ。ココットプレート本体は「フッ素加工している為」と明記されているが、グリルプレートについてリンナイはフッ素に触れておらず、「表面が変色・変質する恐れがある」とだけ述べている。
つまり「フッ素加工でなければ食洗機に入れてよい」とは言えない。覚え方としては「グリルの部品は原則手洗い。可否は部品ごとに取扱説明書で確認する」が安全だ。
リンナイは新品のグリルに空焼きを案内している
意外と知られていないが、買ったばかりのグリルには最初にやることがある(以下はリンナイの案内。他社は取扱説明書を確認してほしい)。リンナイは「グリルを初めて使うときは、部品に付着している加工油を焼き切るために空焼きをしてください」とし、時間の目安を「卓上式のガステーブルは約5分、ビルトインガスコンロは6~7分です」としている。
ただし条件がある。「ザ・ココット、トースト・ピザプレート、ココットプレートを入れたまま、空焼きしないでください。コーティングを傷めてこびりつきやすくなったり、変色やはがれなどの原因になります」——付属プレートは外して空焼きする。ただし同社は「グリル皿・固定枠は、取り外す必要はありません」ともしている。外すのは付属プレート類だけだ。加工油を焼き切る作業なので、換気しながら行いたい。
空焼き中に火が消えることもある。同社は「空焼き時に、グリル過熱防止センサーがはたらき、自動で火が消える場合があります」とし、その場合は「操作ボタンを消火の状態に戻し、グリル庫内が冷めるまで 5分程度待ってから、再度点火してください」としている。故障ではない。

これは機種ごとに指示が違うため、必ず取扱説明書で確認してほしい。水を入れる前提の機種と、水を入れずに使う機種の両方がある。
危険なのは、水を入れる前提の機種で水を忘れる場合だ。受け皿に落ちた脂が直接加熱されることになる。逆に水なし機種へ水を入れると、正常に焼けない。どちらの間違いも起こりうるので、「掃除が楽になるらしい」で判断しないこと。
掃除を楽にする目的なら、メーカーが明示しているのは予熱と油のほうだ。ノーリツは熱してから薄くサラダ油、パナソニックは約2分の予熱を挙げている。
よくある質問
グリルの掃除はいつやるのが正解ですか?
メーカーで案内が分かれます。パナソニックは「温かいうちに油汚れをふけば、お手入れは簡単です!」としつつ「使用直後の高温にご注意ください」と添えています。一方ノーリツは「必ず庫内が冷めたことを確認してから作業を行ってください」とし、手袋の着用も勧めています。庫内は冷めてから、手袋をして作業してください。そのうえで取り外せる焼き網と受け皿だけ先に取り出して浸け置きしておけば、油が固まる前に着手できます。
焼き網の焦げを金属たわしで削ってもいいですか?
避けてください。焼き網の多くはフッ素加工されており、3社が揃って硬いものを禁止しています(ノーリツ「タワシやスポンジたわしの固い面は使用しないでください」、パナソニック「ナイロンネットのかぶったスポンジは使用しないでください」、リンナイ「固いものでこすったりすると、このコーティングが剥がれてしまいます」)。コーティングが剥がれると、次から余計にこびりつきます。落ちない場合は交換部品として購入できます。
グリルの部品は食洗機で洗えますか?
部品によります。リンナイはグリルプレートについて「表面が変色・変質する恐れがあるので、食器洗い乾燥機の使用はお控え下さい」としています。ココットプレートはカバーは使用できるが本体は不可という分かれ方です。理由は同じではなく、ココットプレート本体は「フッ素加工している為」と明記されている一方、グリルプレートについてフッ素への言及はありません。グリルの部品は原則手洗いとし、可否は部品ごとに取扱説明書で確認してください。
まとめ
- いちばん効くのは焼く前の準備。約2分予熱して薄く油を塗る(パナソニック・ノーリツ)
- つけ焼き・てり焼き・味噌漬けは予熱しない。網に油か酢を塗ってから焼く(パナソニック)
- 受け皿は使うたびに洗う。焼き網は中性洗剤をかけて5分放置してから(ノーリツ)
- 庫内とガラスは湿布法。ガラスは内側と外側の両方に貼って15分(ノーリツ)
- 庫内を洗剤で拭いたら必ず水拭きする(ノーリツ)
- フッ素加工に硬いものを使わない——3社が一致。剥がれると次から余計にこびりつく
- 落ちない焼き網は交換部品として購入できる(リンナイ)
- グリルの部品は原則手洗い。可否は部品ごとに取扱説明書で確認する(ココットはカバーのみ可)
- 庫内は必ず冷めてから、手袋をして作業する(ノーリツ)。取り外せる部品だけ先に浸け置きすれば油が固まる前に着手できる
- バーナー・点火プラグ・過熱防止センサーには洗剤や水をかけない








