五徳にこびりついた黒い焦げは、洗剤をつけてこすっても動かない。ここで重曹を使う方法が知られているが、換気扇のようにつけ置きするだけでは足りない。焦げに対する重曹の使い方は「煮る」と「ペーストでこする」の二段構えで、片方だけでは落ちきらない。さらに五徳の素材によって、メーカーが案内している方法が違う。この記事では手順と分量、素材の見分け方までを整理する。
| 汚れの段階 | 方法 |
|---|---|
| 軽い汚れ | 台所用中性洗剤を含ませた布で拭き取る(リンナイ・ノーリツ) |
| 落ちない汚れ | つけ置きしてから丸洗い。ステンレス製なら40℃くらいの重曹水(リンナイ) |
| 焦げつき | 重曹を入れて煮る → 取り出して重曹ペーストでこする(シャボン玉石けん) |
| それでも残る | 五徳は消耗部品として単体で購入できる |
焦げに使う重曹は「煮る」もの
換気扇のフィルターなら、重曹を溶かしたお湯につけておけば油はゆるむ。しかし五徳の焦げは、油ではなく炭化した汚れだ。吹きこぼれた煮汁や飛んだ油が、繰り返し加熱されて固まっている。ぬるま湯につけた程度では動かない。
シャボン玉石けんは五徳の汚れについて、次の手順を示している。
重要なのは②が省略できないことだ。煮ただけで焦げが自然に剥がれ落ちるわけではない。煮ることで焦げがゆるみ、そのあとペーストでこすって初めて落ちる。「煮たのに落ちなかった」の多くは、ここで止まっている。
ペーストの作り方も指定がある。「水と重曹を1対3の割合で、重曹に水を少しずつ加える」——水に重曹を入れるのではなく、重曹に水を少しずつ足す。この順序だと固さを調整しやすい。こびりついた面に留まる固さにする。
もうひとつ、ペーストにすること自体に意味がある。同社は「重曹はやわらかい結晶なのでやさしく研磨して汚れを落とします。また少し水に湿らせてペースト状にすると結晶の角がとれて、傷つけずに汚れを取り除くことができます」と説明している。粉のままこするより、ペーストのほうが傷がつきにくいということだ。
仕上げには「接地面の大きいスポンジを使用すると落ちやすいです」ともある。細いブラシより、面で当てるほうが効率がよい。
煮る時間の目安
五徳の案内は「しばらく煮ます」で、時間の指定がない。同社が時間を明示しているのは鍋の内側の焦げつきについての別の項目で、「焦げついた鍋に水を張り、水500mLに対して重曹大さじ2杯の割合で加え、10分程度煮ます。焦げが浮いてきたらお湯を捨てて重曹ペーストでこすり洗いします」としている。
濃度を1Lあたりに直すと大さじ4杯で、五徳の目安と一致する。ただしこちらは「焦げた鍋そのものを煮る」ケースで、五徳を別の鍋に沈める場合とは熱の当たり方が違う。時間はあくまで参考にとどめ、「焦げが浮いてきたら」という状態の変化を判断基準にするほうが確実だ。
- コンロが冷めてから外す——ノーリツは排気口の手入れについて「ガス栓を閉じ、機器が冷えてから手袋をはめておこなってください。火傷をする原因になります」としている。五徳も同じで、調理直後は熱い
- アルミ鍋で煮ない——シャボン玉石けんは「アルミ鍋は変色するので避けてください」としている。五徳ではなく煮るための鍋の素材の話で、見落としやすい
- やけどに注意——同社は「取り出す際は熱いので、やけどしないように注意してください」とし、「ゴム手袋の使用をおすすめします」としている。取り出しはトングを使い、素手で持てない温度のうちは待つ
- 先に道具を揃える——五徳が沈む大鍋(アルミ以外)、重曹(煮る分とペースト分)、トング、ゴム手袋、面の大きいスポンジ、歯ブラシ。ペーストは煮ている間に作っておくと手が止まらない
素材で方法が変わる。ただし見た目では判断できない
メーカーは五徳の素材ごとに、案内している方法を変えている。
| 素材 | メーカーが案内している方法 | 重曹 |
|---|---|---|
| ステンレス | 軽い汚れは中性洗剤か重曹水。ひどい汚れは40℃くらいの重曹水につけおき(リンナイ) | 明記あり |
| ホーロー | 台所用中性洗剤。落ちなければつけ置き後に丸洗い、さらに水を張った鍋で30分程度加熱(リンナイ) | 記載なし |
ステンレス製について、リンナイは汚れがひどいときは「40℃くらいの重曹水につけおき」し、そのあと歯ブラシで落として水洗いし乾かす、と案内している。メーカー自身が重曹を挙げている点が重要だ。
一方ホーロー製については、リンナイは中性洗剤とつけ置き、そして「水を入れた大きな鍋にごとくを入れ、30分程度加熱」する煮洗いを案内しているが、ここに重曹は出てこない。ノーリツも「中性洗剤を含ませた布やスポンジで汚れを拭き取ります」としており、重曹には触れていない。
ただし「記載がない」は「禁止」ではない。ホーローに重曹を使うなとメーカーが書いているわけではなく、案内の中に登場しないというだけだ。
見た目で判定しようとすると外れる
「銀色ならステンレス、黒ならホーロー」と考えたくなるが、この記事を読んでいる人ほど当てはまらない。
リンナイ自身がこう書いている。「ステンレス製のごとくやバーナーキャップ上部は、炎の熱により変色しますが、性能上問題はありません」——ステンレスの五徳は使い込むほど焼き色がつく。焦げに悩む段階の五徳が銀色に見えるとは限らない。ホーローにも黒以外の色がある。
確実なのはコンロの品番から確認することだ。取扱説明書か、メーカーの部品ページに「ごとく(ホーロー)」「ステンレスごとく」と材質が書かれている。品番は天板の手前や本体側面のラベルにある。
それでも分からないうちは、リンナイがホーローに示している「水だけの煮洗い(30分程度)」から始めればよい。水で煮るだけなら素材を選ばず、それで足りなければ重曹を加える——この順序なら踏み外さない。
傷については、メーカーは「性能に問題なし」としている
こすって傷がつくのを気にする人は多い。リンナイの回答ははっきりしている。
「スポンジの硬い面、クリームクレンザーおよびステンレス部品用のお手入れ道具で汚れを落とす場合、ステンレス表面が傷つくことがありますが性能に問題はありません」
つまり「見た目は変わるが、使用上の問題はない」という立場だ。実際リンナイは、変色した場合にはステンレス専用クリーナーを使う方法も案内している。
判断としては、見た目を保ちたいなら硬いものでこする前に煮る工程を挟む、多少の傷を許容するなら強い道具を使ってよい——という線引きになる。なお重曹ペーストは、前述のとおり結晶の角が取れるため傷がつきにくい。まずペーストで試すのが順当だ。
煮ると重曹の性質が変わる
なぜ「つけ置き」ではなく「煮る」なのか。温度の扱いが、換気扇の場合とは逆になっている点に触れておきたい。
東京ガスは重曹水を作るときの温度について、「あまり冷たい水だと重曹が水に解けないので、40度前後の水温にしてください」とし、上限についても「あまり熱すぎると弱アルカリ性の重曹が強アルカリ性になって刺激が強くなるので、水温には気をつけましょう」としている。換気扇のつけ置きで40度前後が勧められるのは、この上限があるからだ。
煮沸はその上限を越えたところで使う方法になる。東京ガスは煮沸について述べているわけではないが、温度が上がるほど刺激が強くなるという説明を踏まえれば、素手で扱うべきでないことは分かる。ゴム手袋が繰り返し推奨されるのはこのためで、すすぎも丁寧にやりたい。シャボン玉石けんも「洗浄後はよくすすいで重曹を落とし、フキンで乾拭きしてください」としている(鍋の焦げつきについての記述)。
アルカリが強くなるということは、同時に入れるものにも気を配る必要があるということだ。アルミ鍋を避けるのはそのためで、フッ素加工の鍋やアルミ製の小物を一緒に入れるのも避けたい。
最後に、煮たあとの湯には焦げと油が溶け出している。熱いまま流しに一気に流すのは避け、水を足して温度を下げてから捨てる。油分が多いときは拭き取ってから流すと、配管に固まりにくい。
それでも落ちないとき
何年も蓄積した焦げは、家庭の手入れで新品同様には戻らない。煮て、ペーストでこすって、2回やっても変わらないなら、素材そのものに入り込んでいるか、ホーローの表面が傷んで下地が出ている可能性がある。
知っておくと楽なのが、五徳は消耗部品として単体で買えることだ。ノーリツは「ごとくやバーナーリングカバーの交換でコンロリフレッシュはいかがですか?」として交換部品を案内しており、公式オンラインショップで購入できる。コンロ本体を替えずに五徳だけ新品にできる。
時間をかけて落ちないものに何時間もかけるより、買い替えたほうが結果的に安く済む場合がある——という選択肢は持っておいてよい。

まず確認したいのはペーストの工程をやったかだ。シャボン玉石けんの手順は「煮る」で終わっておらず、取り出したあとに重曹ペーストでこするところまでが一続きになっている。煮ただけで判断するのは早い。
もう一点は冷ましすぎていないか。完全に冷めると、ゆるんだ汚れは再び固まる。やけどをしない温度まで下がったら、そこで作業に入る——この段取りで結果が変わる。触れないほど熱いうちに無理をする必要はないが、翌朝に持ち越すと振り出しに戻る。
それでも動かないなら、五徳が入る大鍋がなくて五徳の一部しか湯に浸かっていない可能性もある。深型のフライパンで向きを変えながら2回に分ける、という手もある。
よくある質問
五徳を重曹水につけ置きするだけでは落ちませんか?
軽い汚れなら落ちます。リンナイはステンレス製のごとくについて、汚れがひどいときは40℃くらいの重曹水につけおきしてから歯ブラシで落とす方法を案内しています。ただし炭化した焦げにはつけ置きでは力不足のことが多く、その場合は重曹を入れて煮る方法に切り替えます。
煮るときの鍋は何でもいいですか?
アルミ鍋は避けてください。シャボン玉石けんは「アルミ鍋は変色するので避けてください」としています。五徳ではなく煮る側の鍋の素材の話で、見落としやすい注意点です。五徳が完全に沈むサイズで、吹きこぼれても大丈夫な余裕のあるステンレス鍋などを選んでください。入る鍋がなければ、深型のフライパンで向きを変えながら2回に分ける方法もあります。
ホーローの五徳に重曹を使ってもいいですか?
リンナイのホーロー製ごとくの案内には重曹は登場しません。中性洗剤とつけ置き、そして水を張った鍋での煮洗い(30分程度)が示されています。禁止と書かれているわけではありませんが、メーカーが明示している方法から試すのが確実です。まず水だけの煮洗いを行い、それで足りない場合に重曹を加えるという順序をおすすめします。なお自分の五徳の素材は、見た目ではなくコンロの品番から取扱説明書で確認してください。
まとめ
- 焦げへの重曹は「煮る」→「ペーストでこする」の2段階。煮ただけでは落ちない(シャボン玉石けん)
- 煮る濃度は水1Lに大さじ4杯。ペーストは重曹に水を少しずつ加えて水1:重曹3
- ペーストにすると結晶の角が取れて傷つきにくい。まずペーストで試す
- 時間は「焦げが浮いてきたら」で判断する(10分は鍋の焦げつきの目安)
- アルミ鍋で煮ない。変色する(煮る側の鍋の素材の話)
- 素材は見た目で判断しない。ステンレスは炎で変色する(リンナイ)。品番から取説で確認する
- 迷ったら水だけの煮洗い(30分程度)から。それで足りなければ重曹を加える
- 傷はメーカーが「性能に問題はありません」としている(リンナイ)
- 落ちなければ五徳は単体で買える。時間をかけるより安く済む場合がある








