「警察署でチャイルドシートを貸してくれる」と聞いたことがある人は多いと思います。ただ実際に調べてみると、貸し出しているのは警察署そのものではなく交通安全協会で、しかも会員限定の場合が多いことが分かりました。自治体はあっせん(割引)という別の形を取ることもあります。制度の実際を順に確認していきます。
| 実施主体 | 内容 | 条件 |
|---|---|---|
| 都道府県・地区の交通安全協会 | 無料貸出 | 会員限定の場合が多い |
| 自治体(区市町村) | レンタルのあっせん・割引 | 在住者向け |
| 警察署 | 貸出の窓口は協会側 | 協会事務所が署内にある例が多い |
貸すのは警察署ではなく交通安全協会
実施主体は交通安全協会
チャイルドシートを貸しているのは警察署ではなく、交通安全協会です。福岡県警察は、チャイルドシートの貸出について「かけがえのないお子様の命を守るため、福岡県交通安全協会においてチャイルドシートの無料貸し出しを行っています。」と回答しています。警察は案内する側で、事業をしているのは協会という整理です。
協会の窓口が警察署内にあるだけ
混同のもとは場所です。東京都交通安全協会の一覧を見ると、麹町交通安全協会や神田交通安全協会などが「◯◯警察署内」という所在地で並んでいます。地区の協会事務所が警察署の中に置かれているため、警察署が貸しているように見えるだけです。
出典:東京都交通安全協会 地区交通安全協会一覧(2026年8月時点)

無料貸出は会員限定。条件は地区ごと
茨城・福島とも貸出の対象は会員限定
協会の無料貸出は、会員限定としているところが多いです。茨城県交通安全協会は「茨城県交通安全協会では、会員様限定でチャイルドシートの貸し出しを行っております。」としており、福島県交通安全協会も「交通安全協会会員の方を対象にチャイルドシート・ベビーシートの無料貸し出しを行っております。」として、あらかじめ各地区の協会に連絡するよう案内しています。
期間は地区ごと。茨城6ヶ月・福岡3ヶ月
貸出の期間や費用は全国一律ではなく、協会・地区ごとに違います。茨城の例では、貸出対象は乳児・幼児兼用タイプ(0〜4歳用)で、期間は1日から最長6ヶ月。返却時には、公式の案内にある「クリーニング代の支払いを頂くか、又は自らクリーニングに出して返却して頂きます。」という負担があります。
一方、福岡県交通安全協会の地区一覧を見ると、最長3ヶ月の地区が主流で、年間90日以内という地区や6ヶ月の地区、クリーニング代800円を明記する地区もあります。同じ県の協会でも、地区によってここまで違います。
出典:福岡県交通安全協会 チャイルドシートの貸出し(地区一覧)(2026年8月時点)
協会の会員であること(会費)が前提で、返却時にクリーニング代がかかる協会・地区もある(茨城、福岡・筑紫地区など)。茨城の受渡・返却窓口は平日17時頃までなので、平日に動けない人は受け取りの段取りも考えておく。
申し込みは電話予約が基本
申し込みは事前の電話予約が基本で、受渡・返却は平日17時頃までです。持ち物も決まっています。
・事前に電話で在庫の有無を確認して予約する
・持参するもの:会員証・運転免許証・印鑑・装着する車両の車検証
・受渡・返却は平日17時頃まで
・返却時はクリーニング代を負担するか、自分でクリーニングに出す
自治体のあっせんは割引+取付け付き
江東区は通常料金の12〜20%引き
江東区のあっせんを使うと、通常料金の12〜20%引きでレンタルできます。区の案内には「通常料金の12~20%引きでレンタルを受けることができます。」とあります。区が直接貸すのではなく民間業者と提携する形で、申し込みは提携先の株式会社愛育ベビーへ直接電話する流れです。
通常料金の例は6ヵ月8,400円(税別)
愛育ベビーの通常のレンタル料金は、コンビ グッドキャリーが6ヵ月8,400円(税別・税込9,240円)、アップリカ フラディア グロウ ISOFIX セーフティープラスが6ヵ月19,800円(税別・税込21,780円)という水準です。ここから12〜20%引かれるので、8,400円の機種なら1,008〜1,680円(税別)安くなる計算です。
アップリカ フラディア グロウ ISOFIX セーフティープラス。出典:愛育ベビー チャイルドシートレンタル(料金の出典も同ページ。表示は税別)
取付けサービスに割引以上の価値
あっせん制度の本体は、割引よりも取り付けのほうにあります。江東区の案内には「株式会社愛育ベビーの担当者が、ご自宅までお伺いし、取り付け、使用方法の説明をいたします。」と明記されています。愛育ベビー自身も通常サービスの案内で「お届け時に、車への取付け方をご案内しています。」としています。
取り付けの難しさは同社の解説にも表れていて、「付けにくい車で一番多いのは、 後部座席の奥行が浅い場合です。概ね40cm未満の場合は、取付けが不安定になります。」とあり、座席の凸凹やベルトバックルの位置も要因に挙げられています。車と機種の相性は、実際に付けてみないと分からない部分が大きいようです。
数字でも裏付けられます。警察庁とJAFの2025年の全国調査では、「取り付けられたチャイルドシートのうち、適切な取付けができていた割合は74.8%、チャイルドシートを使用していた幼児のうち、幼児を適切に着座させることができていた割合は55.6%でした。」という結果が出ています。適切に着座できていた幼児は55.6%。専門業者が取り付けてくれる制度には、割引以上の価値があります。
見つからなければ民間レンタルへ
調べる順番は市区町村→協会
ここまで見てきたとおり、実施主体も条件も地域によってばらつきがあります。まずは住んでいる市区町村の交通安全担当課と、都道府県の交通安全協会の両方にあたるのが早道です。
1. 住んでいる市区町村の交通安全担当課・社会福祉協議会(あっせん・助成・貸出の有無)
2. 都道府県の交通安全協会(会員向け無料貸出の有無)
3. 最寄りの地区交通安全協会(多くは警察署内)
4. 該当しなければ民間のレンタルで比較
ダスキンは新生児対応6,050円から
制度が見つからなければ民間へ。ダスキンならジュニアシートが1ヵ月3,520円、新生児対応は6,050円からです。3,520円のハイバックジュニアライトは3歳ごろからの学童向けで、協会の貸出対象になっている0〜4歳用にあたるのはスリーピーNキャリー(1ヵ月6,050円)などになります。店頭で受け取れば商品受取り料金はかからず、レンタル料金だけで使えます。
出典:ダスキンかしてネッと チャイルドシート・料金のしくみ(2026年8月時点)
よくある質問
警察署でチャイルドシートを借りられますか?
貸出を行っているのは交通安全協会です。福岡県警察も、福岡県交通安全協会が無料貸し出しを行っていると案内しています。地区の協会事務所が警察署内にあることが多いため、混同されやすい制度です。
交通安全協会の貸出は誰でも使えますか?
会員限定としている協会が多いです。茨城県交通安全協会は会員限定で貸し出しを行っており、福島県交通安全協会も会員を対象としています。加入していない場合は、まず地区の協会に会員になれるか問い合わせることになります。
自治体の制度にはどんなものがありますか?
あっせんという形があります。江東区は通常料金の12〜20%引きでレンタルでき、業者による取り付けと使用方法の説明が付きます。制度の有無と内容は自治体ごとに違うので、お住まいの窓口で確認してください。
まとめ
チャイルドシートの無料貸出は交通安全協会の事業で、会員限定という条件が付くことが多くなっています。自治体はあっせんという形で割引と取り付けを提供している例があります。まずは地域の交通安全協会と区市町村の窓口を確認し、どちらも該当しなければ民間のレンタルに切り替える、という順番がよさそうです。











