クローゼットから出した黒いスーツが、礼服なのか普通のスーツなのか分からない。そもそも礼服と喪服は同じものなのか。結論から書くと、礼服は冠婚葬祭で着る正装の総称で、喪服はそのうち弔事に着るものという関係になる。さらに喪服の中にも格があり、立場によって選ぶものが変わる。
言葉の関係を整理する
| 用語 | 指すもの |
|---|---|
| 礼服 | 冠婚葬祭で着る正装の総称。慶事と弔事の両方を含む |
| 喪服 | 礼服のうち弔事で着るもの |
| 正喪服(正式喪服) | 最も格が高い。モーニングや五つ紋の和装 |
| 準喪服 | ブラックフォーマル。一般的に喪服と呼ばれるもの |
| 略喪服(略礼服) | ダークスーツなど。急な弔問や三回忌以降 |
礼服と喪服はどこが違うのか
礼服は慶事にも弔事にも使う。同じ黒い礼服でも、ネクタイを白やシルバーにすれば結婚式、黒にすれば葬儀という切り替え方をする。レンタル各社の運用にもそれが表れていて、礼服レンタルのやましたは「ネクタイの色に白あるいはシルバーをお選びいただいた場合、ポケットチーフをセットした状態でお送りしております。」としている。同じ一着で用途を切り替える前提だ。
一方でビジネス用の黒いスーツは礼服ではない。小さなお葬式の解説は遺族側の服装について「冠婚葬祭用以外の普通のブラックスーツは避けましょう。」としている。礼服の黒は通常のスーツより深く染められており、並ぶと差が出るためだ。
喪服の三つの格
喪服には格の段階がある。レンタルサイトのカテゴリ構成にもそれが反映されていて、Cariru BLACK FORMALは商品を正喪服・準喪服・略喪服に分けている。同社の正喪服カテゴリは4日間6,980円から14,900円(税込)の帯だった。
正式喪服がどういうものかは葬儀社の解説が具体的だ。男性の洋装については「正式喪服のモーニングジャケットに黒いベストを着用します。」とされ、「ズボンは黒とグレーストライプの縞ズボンを着用します。」と続く。ただし「※通夜式ではブラックスーツとなります。」という注記があり、場面によって使い分ける。
略式喪服については「略式喪服であるブラックスーツを着用します。近年では告別式でもブラックスーツを着用する方が増えています。」とされている。実務上はこの準喪服・略喪服にあたるブラックスーツが中心になっていると読める。
・喪主・施主 → 正喪服または準喪服
・遺族・親族 → 準喪服
・参列者 → 準喪服または略喪服
格は上げるほど丁寧だが、参列者が喪主より格の高い装いをするのは避けるという考え方がある。
参列者はどこまで揃えればよいか
参列する側の基準は比較的ゆるやかだ。葬儀社の解説では「現在では厳密な決まりはありませんが、三回忌までは略礼服が一般的です。」とされている。一般社団法人全日本冠婚葬祭互助協会も参列者の服装を「男性:ブラックスーツ、ダークスーツに白いシャツ、黒か地味な色のネクタイなど。」と示している。
女性については「女性:ワンピースとジャケットのアンサンブル。地味な色柄・ワンピースなど。」とされ、通夜も葬儀と同じ地味な服装にするよう案内されている。なお宗派や地域によって作法が異なることがあるため、判断に迷う場合は葬儀を担当する葬儀社に確認したい。
和装の場合
和装にも格がある。葬儀社の解説では、男性の和装は「羽二重などの黒無地染め抜き五つ紋付きの着物と羽織に、仙台平の袴が正式です。」、女性は「黒無地染め抜き五つ紋付き、黒無地の丸帯が正式です。」とされている。和装は正喪服にあたる位置づけになる。
よくある質問
持っている黒いスーツが礼服かどうか見分けられますか?
光の下で他の黒い服と並べると分かりやすい。礼服のほうが深い黒に見える。判断がつかず、遺族や親族として参列するなら、礼服として販売・レンタルされているものを用意したほうが確実になる。
通夜と告別式で服装を変える必要はありますか?
全互協は「通夜も葬儀と同じで地味な服装にしましょう。」としている。ただし喪主が正式喪服を選ぶ場合、通夜式ではブラックスーツになるという記述が葬儀社の解説にある。立場によって扱いが変わる。
準喪服と略喪服はレンタルで選び分けられますか?
選び分けられる社がある。Cariru BLACK FORMALは正喪服・準喪服・略喪服をカテゴリとして分けており、格を指定して探せる。他社は商品説明で判断することになる。
まとめ
礼服は正装の総称、喪服はその弔事版、そして喪服の中に正喪服・準喪服・略喪服という段階がある。この構造が分かれば、自分の立場からどれを選ぶかは決めやすい。レンタルなら格を指定して借りられる社もあるので、立場が変わるたびに買い足す必要もない。










