冷蔵庫が止まった。修理するほどの年式でもないので捨てたいが、動かないものを引き取ってもらえるのかが分からない——。結論から書くと、壊れていても処分の手順は変わらず、リサイクル料金も同じだ。動作の有無で料金区分が分かれていないからである。本当に厄介なのは別の2つで、メーカーが分からないときとその冷蔵庫が業務用だったとき。この記事は、その2つのつまずきをほどくために書く。
| 状況 | 扱い | 次にやること |
|---|---|---|
| 動かないが家庭用 | 家電リサイクル法の対象。料金は同じ | 通常どおり引き取りを依頼 |
| メーカー名が読めない | 対象。ただし料金が上がることがある | ロゴ検索・型名検索で特定 |
| 業務用の冷蔵庫・冷凍庫 | 家電リサイクル法の対象外 | 産業廃棄物として処理を委託 |
| 1ドアの小型・保冷庫 | 家庭用なら対象。粗大ごみ不可 | サイズ区分を確認 |
動かない冷蔵庫でも料金も手順も変わらない
家電リサイクル券センターの料金一覧は、製造業者等名と大小区分だけで金額が決まる構造になっている。動くか動かないかという欄はない。壊れた冷蔵庫だから割高になる、あるいは受け付けてもらえない、ということは起きない。
変わるのは費用ではなく、選択肢のほうだ。動かない冷蔵庫は買取の対象から外れる。家電製品協会は、リユース品の対象とならない条件のひとつとして「外観上の確認で、機能上不可欠な部品が欠損していることが明らかな場合(修理可能な物は除く)。」を挙げている。売って費用を浮かせるという道は最初から閉じていると考えたほうがよい。
一方で、動かない冷蔵庫だからこそ注意が必要な場面もある。同協会は「特に、明らかに使えない状態の廃家電を無料回収する場合、最終的にその家電が不法投棄される恐れがあります。」としている。壊れているものを喜んで無料で持っていく、という申し出は、まず疑ってかかる場面だ。
壊れてから処分するまでのあいだ、庫内の食品を出し忘れると悪臭と汚れが残る。経済産業省のFAQは、小売業者が引取義務を免れる正当な理由のひとつに「排出者が冷蔵庫や洗濯機内の生ゴミ、缶・ビン、衣類等の異物除去を行わない場合」を挙げている。冷えなくなった時点で中身を出し、扉を開けて乾かしておくのが正解だ。
メーカーが分からないときの調べ方
買ったのが20年前、店もメーカーも覚えていない、シールも剥がれている——このパターンは珍しくない。手がかりは3つある。
1つ目はロゴ。家電リサイクル券センターはロゴマークから料金を探せるページを用意している。ただし同センターは、間違えやすい同じロゴを使用している製造業者等の一例をPDFで公開しており、ロゴだけでは特定しきれない場合があることを示している。
2つ目は型名。同センターの製品型名検索は「製品の型名から家電リサイクルの対象品目かどうかを検索できます。」とされている。銘板に書かれた型名をそのまま入力する形だ。ここで大事なのは、ヒットしなくても諦めないこと。同ページには「なお、入力した型名が見つからなかったとしても家電リサイクルの対象外という事ではありません。」と明記されている。
3つ目は電話。同ページは「型名が見つからない場合は家電リサイクル券センター(0120-319640)へお問合せください。」としている。銘板の写真を見ながら電話するのが確実だ。
メーカー不明のまま処分すると料金が上がる
ここは金額に直結するので押さえておきたい。倒産などでリサイクルを引き継ぐ会社がない製品は「指定法人」という区分で処理され、家電リサイクル券センターの料金一覧では指定法人(コード999)の冷蔵庫・冷凍庫が170L以下5,200円、171L以上5,600円と定められている。大手メーカーの3,740円・4,730円と比べると1,000円前後高い。
つまり、メーカーを特定できれば安く済む可能性がある、ということだ。日立グローバルライフソリューションズの冷蔵庫であれば同社が「リサイクル料金については、冷蔵庫、または冷凍庫の容量により異なります。」としたうえで170L以下3,740円・171L以上4,730円と公表しており、指定法人扱いより1,000円近く安い。銘板を探す手間は、金額に見合う。
業務用の冷蔵庫は家電リサイクル法の対象外
ここが最大の分かれ道になる。家電リサイクル券センターは対象品目の説明で「いわゆる家電4品目は、家庭用機器であれば、事業所で使用されているものであっても家電リサイクル法の対象です。」としつつ、「一方、業務用機器であれば、家庭で使用されているものであっても家電リサイクル法の対象外です。」としている。判定基準は「どこで使っていたか」ではなく「家庭用として作られたか」だ。
同センターは、製品がすべて業務用にあたる製造業者等として、ホシザキ、レマコム、大和冷機工業、福島工業、サーモマジック、日本フリーザー、日光エンジニアリングを名指しで挙げ、「下記製造業者等の製品は全て業務用です。家電リサイクル対象外となります。」としている。品目でいえば、店舗用のショーケース、冷凍ストッカー、おしぼりクーラー、保冷米びつ、冷水機・製氷機、化粧品専用の保冷庫、課金式のホテル用システム冷蔵庫が対象外だ。
メーカー側も同じ整理をしている。日立は自社の冷蔵庫について、検食保存用冷凍庫、ホテル向け冷蔵庫、防爆形冷蔵庫、業務用冷蔵庫の型式を列挙し、「以下の業務用の冷蔵庫および冷凍庫は、「家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)」の対象外です。」としている。コジマも引き取り対象について「リサイクル対象製品は家庭用テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、衣類乾燥機、エアコンのみになります。それぞれの業務用機器などはリサイクルできません。」と書いている。量販店に持ち込んでも受けてもらえないということだ。
業務用はどう処分するのか
業務用機器は産業廃棄物として、許可を持つ処理業者に委託することになる。事業所から出る家電の扱いについて、経済産業省のFAQは「産業廃棄物収集運搬許可業者に委託し、指定引取場所への運搬を依頼。」という選択肢を示しており、産業廃棄物処分許可業者による処分について「産業廃棄物の処分を行う業者が環境大臣告示の処分⽅法を満たしているか確認する必要があります。」としている。
ややこしいのは、事務所で使っていた冷蔵庫が必ずしも業務用とは限らないことだ。同FAQは「家庭用機器であれば、事業所で使用されている場合であっても、家電リサイクル法の対象です」としている。オフィスの給湯室にある家庭用の2ドア冷蔵庫は、事業所から出ても家電リサイクル法のルートで処分することになる。
逆に「対象になる」と気づきにくいもの
小さいから粗大ごみでいいだろう、と判断してしまいやすい機器がある。家電リサイクル券センターが冷蔵庫・冷凍庫の対象として挙げているのは、冷蔵庫、冷凍冷蔵庫、保冷庫・冷温庫、ワイン庫(ワインセラー)、冷凍庫、ペルチェ素子方式冷蔵庫(一部メーカーでは電子冷蔵庫)、吸収式冷蔵庫、車載式・バッテリー式を含むポータブル冷蔵庫だ。保冷庫・冷温庫については「冷却や制御に電気を使用するものに限ります。」という条件がついている。
つまり、ワンドアの小型冷蔵庫も、ペルチェ式の保冷庫も、ワインセラーも家電4品目である。自治体の粗大ごみには出せない。サイズが小さくても、内容積170L以下の「小」区分としてリサイクル料金がかかる。
よくある質問
壊れている冷蔵庫でもリサイクル料金は同じですか?
同じだ。家電リサイクル券センターの料金一覧は製造業者等名と内容積の大小区分で金額が決まる仕組みで、動作の有無による区分はない。ただし庫内に食品などの異物が残っていると引き取りを断られることがあるため、冷えなくなった時点で中身を出しておきたい。
メーカーが分からない冷蔵庫はどうすればいいですか?
家電リサイクル券センターがロゴ検索と型名検索を用意している。型名検索でヒットしなくても対象外という意味ではないと同センターは説明しており、分からない場合は0120-319640へ問い合わせるよう案内している。メーカーを特定できないまま指定法人扱いになると、170L以下で5,200円と、大手メーカーの3,740円より高くなる。
業務用の冷凍庫を家で使っていました。家電リサイクルに出せますか?
出せない。家電リサイクル券センターは、業務用機器であれば家庭で使用されていても家電リサイクル法の対象外だとしている。ホシザキやレマコムなど、製品がすべて業務用にあたる製造業者等も名指しで公表されている。この場合は産業廃棄物として、許可を持つ処理業者に委託することになる。

まとめ
壊れた冷蔵庫の処分は、動かないこと自体は障害にならない。料金も手順も動作品と同じで、変わるのは買取という選択肢が消えることだけだ。
先に確かめるべきは2点。ひとつはメーカー名で、特定できるかどうかで1,000円前後の差が出る。もうひとつは家庭用か業務用かで、こちらは処分のルート自体が変わる。銘板を写真に撮ってから、家電リサイクル券センターの型名検索に当ててみるところから始めたい。










